多様なチャネルが相次ぎ導入

 Qvou(キューボー:神戸市)のミネラルウォーター「のむシリカ」が小売店流通で急成長を遂げている。今年4月から取り扱いを始めた関西の大手GMSでは、販売開始から2週間も経たないうちに手頃な500mL入りだけでなく2L入りも伸びており、「1本600円以上という価格にもかかわらず、想定以上のケース数が出ている」(Qvou担当者)という。また、別の大手GMSでは、関西の店舗で取り扱いを開始したところ売れ行きが好調なことから、関東の店舗でも導入を計画している。好調なのは、関東や関西の大都市だけでない。地方で展開するスーパーでも順調に販売量を伸ばしており、「納品した分だけでは足りず、『最短で追加納品をしてほしい』と言った声も寄せられている」(Qvou担当者)というほどだ。

「のむシリカ」が小売店流通に本格的に乗り出したのは、昨年12月。販売開始から半年足らずで、既に百貨店や大手GMSからローカルスーパー、コンビニまで、全国各地の様々な小売業が取り扱いを始めており、上述の通り、多くの店舗で好調な売れ行きを見せている。また、こうした導入店での販売動向に触発されたのか、ドラッグストアからの問い合わせも増えており、今後、販売チャネルは更に広がりそうだ。

 販売開始間もない小売店で「のむシリカ」がこれほどまでに売れる理由は、EC市場で確立した知名度にある。これまで「のむシリカ」は、主に通販市場でケース販売されており、販売量は、2017年発売時の7631箱から21年の115万43箱へと、4年間で150倍に伸長。今では、毎月10万ケース以上、250万本を安定的に出荷するまでになっている。しかも、リピート利用者も多く、その割合は業界関係者も注目するほど。更にシリカ水の中での競争力も高く、ECのアマゾン内のシリカ水の月間売り上げシェアを比較した調査(22年1月実績)では、「のむシリカ」のシェアは28%超と、2位を10ポイント以上引き離して売り上げナンバーワンを達成している。こうした人気の商品が1本単位で最寄りのスーパーやコンビニで買えるとあって、店頭発売開始直後から多くの消費者が商品を買い求めたのだ。

4月から取り扱いを開始した関西の大手GMSでは、生鮮売り場も含め、店内各所でサイネージ広告を実施。売れ行きも好調だ

天然ミネラルが豊富シリカ含有量は世界トップ水準

 ECでの人気が小売店流通での好調な販売につながったわけだが、そもそも「のむシリカ」がEC市場で人気ナンバーワンの地位を確立できたのは、商品名の由来でもあるシリカの含有量の豊富さにある。

 シリカとは、皮膚や毛髪、骨、関節、歯、爪など人体のほとんどの組織に含まれるミネラルで、体内で組織同士をつなぐ役割を果たしており、これが不足すると肌荒れや抜け毛、骨折などにもつながりやすく、健康維持のためには欠かせない。ただ、シリカは体内で生成することができないため、食事などで摂取する必要があり、その量は、成人で1日当たり約40mgと言われている。「のむシリカ」には、このシリカが1L当たり97mg含まれているため、水を飲むだけで十分な量のシリカを摂取できるのだ。ちなみに、この1リットル当たり97mgという含有量は世界でもトップクラスで、ここに着目する小売業も多く、50店舗以上での導入を決めた大手量販店でも、シリカの含有量の高さが導入の決め手となったという。

 シリカには、料理の味を引き立たせる効果もある。「のむシリカ」で炊いたご飯は他の水を使った場合より艶が増すうえ、深いコクと甘みが感じられる。更に、お酒の水割りや水出し茶も、「のむシリカ」を使うと、他のミネラルウォーターよりもコクと旨味が増し、特にお茶は鮮やかな色になるという実験結果が発表されている。

 なお、シリカ水の中には、化学合成したシリカを添加して高濃度をうたう商品も少なくないが、「のむシリカ」は、天然水に含まれるシリカのみで高濃度を実現している。Qvouによれば、シリカは、ナチュラルミネラルウォーターからの摂取が最も吸収率が高いと言われており、同社の製品は、霧島連山の麓、宮崎県小林市の水源の中で数本ある水脈のうち、1L当たり97mgのシリカを含む1本の水脈からだけ採水することで、自然由来のシリカの高い含有量を実現しているのだ。

霧島連山の麓、宮崎県小林市の特定の水源で採水されたミネラルウォーターが、専用工場の厳しい品質管理の下、ボトル詰めされて「のむシリカ」となる

 加えて、シリカ以外の天然ミネラルも豊富だ。二日酔いや胃腸の改善に役立つと言われる炭酸水素イオンが1L当たり170mg含まれるほか、カルシウムとマグネシウムは、吸収率が最もよいとされる2対1の黄金比率で含まれている。

 飲みやすさも「のむシリカ」の特長だ。水の飲みやすさは、主に水の硬度によって決まる。カルシウムおよびマグネシウムの含有量が少ない軟水ほど飲みやすく、逆に含有量が多い硬水ほど飲みにくい。様々なミネラルが偏りなくバランスよく含まれる「のむシリカ」は、硬度130mg、「中硬水」に分類され、ミネラル分をしっかり摂取できるうえ、飲みやすいというメリットがある。

韓流スターのCMで認知度向上、話題のKCONにも出展

「のむシリカ」がトップブランドの地位を築いた理由には、優れた成分に加え、販促施策の力もある。Qvouでは、「のむシリカ」だけに年間数十億円の広告費を投入しており、これが高い知名度の確立に寄与している。同社が特に力を入れているのが韓国ドラマの放映が多いBS・CSのCM投下だ。「のむシリカ」のメインターゲット層である40代から60代の女性は、韓国ドラマのファンが多い。その女性層に訴求するため、BS・CSに積極的にCMを投下しているのだ。この4月からは、日本でも人気の韓国ドラマに出演中の俳優、パク・ソンフンを起用した新たなCMを制作。3月のドラマ新シリーズ開始に合わせて放映することでファン層の取り込みを狙っている。

 このほか、5月12~14日の3日間、幕張メッセで開催された韓国カルチャーの祭典「KCON JAPAN 2023」にも出展した。KCONは、K-POPショーと韓国のライフスタイルを紹介するコンベンションを融合したイベントで、12年の開始から世界各国で136万人の観客を集めるなど韓国カルチャーを牽引している。今年もK-POPファンの若年層から韓国ドラマ愛好家の年配女性まで12万人の来場者を集めた。Qvouは、オフィシャルスポンサーとしてここに出展。パク・ソンフンの大きなビジュアルのパネルとCMの動画で集客しながら「のむシリカ」を幅広い層に向けてアピールした。

 イベントでの成果は大きく、「多くの来場者がブースを訪れ、毎日1000本用意した『のむシリカ』は3時間でなくなった。商品を受け取るための行列は最長で100人が並んだ」(Qvou担当者)という程盛況だった。また、来訪者の中心はZ世代の若い層だったが、年配の女性や男性も3割ほどを占めていた。「のむシリカ」の認知度も高く、商品を知らないという反応はほとんどなかった。

 こうしたイベントに加え、ネットでの宣伝にも力を入れる。チャンネル登録者数が数百万人の人気ユーチューバーや有力なインフルエンサーと提携、配信する情報の中で「のむシリカ」を紹介してもらうことで、テレビCMではアプローチしにくい20~30代の若い世代の取り込みを図っている。

 テレビCMからリアルのイベント、ネット広告と多様なチャネルを活用しながら、「のむシリカ」の魅力を訴求することで、ネット通販で確立した「シリカ水売上高ナンバーワン」のポジションをリアルの小売店流通でも確立する構えだ。

5月12~14日、幕張メッセで開催された韓国カルチャーの祭典「KCON JAPAN 2023」に出展。パク・ソンフンの大きなパネルが集客にも貢献、8000人のお客がブースを訪れた

■問い合わせ先卸一覧
 ・国分グループ本社株式会社
 ・加藤産業株式会社
 ・トモシアホールディングス株式会社
 ・三井食品株式会社
 ・伊藤忠食品株式会社
 ・ヤマエ久野株式会社