小売業の取り扱い拡大を受け販促を強化

 Qvou(キューボー:神戸市)のミネラルウォーター「のむシリカ」が、今年7月3日に大記録を打ち立てた。2017年の発売開始からわずか6年で累計販売本数が1億本を超えたのだ。

「のむシリカ」は、これまで主にネット通販市場でケース販売されていたが、昨年12月からは小売店頭でも販売を開始。この半年間にコンビニからスーパー、大手GMSまで既に50社近くが取り扱いを始めている。また、バーなどの飲食店でも割り材に採用するところが増えていることもあり、販売量が急増、昨年夏に累計5000万本を記録してから約1年で2倍の1億本を達成した。

 この勢いを更に加速させるべく、Qvouでは販売促進の取り組みを強化している。

 同社はこれまでも年間数十億円をかけてネットをはじめ様々なメディアでプロモーションを展開してきた。特に「のむシリカ」のメインターゲット層である40代から60代の女性には韓国ドラマファンが多いことから、韓国ドラマの放映が多いBS・CSにCMを多数投下。この春には、大ヒット韓国ドラマに出演中の人気俳優、パク・ソンフンを起用した新たなCMを制作し、ドラマの新シリーズ開始に合わせて放映している。加えて7月からは地上波の全国ネットでもテレビCMの放映を開始。人気の情報番組などにCMを差し込むことで、幅広い層への訴求力を高める方針だ。このほか、都内のバス停や全国のタクシー車内のサイネージへも広告を出稿しており、街中での「のむシリカ」の認知向上にも力を入れている。

タクシー車内のサイネージでも動画広告を配信中だ
都内のバス停にも大型広告を出している

 イベントへの出展も強化してい る。この5月には、3日間で12万人を集客した韓国カルチャーの祭典「KCON JAPAN2023」に出展し、若者から年配女性まで幅広い層に「のむシリカ」をアピールした。これに加え7月には名古屋・東京で開催の韓国発大型音楽フェス「WATERBOMB2023」にも協賛し、韓国カルチャーファンの更なる取り込みを図った。また、スポーツ愛好家へのアプローチにも乗り出しており、近年話題の障害物レース「スパルタンレース」の冠スポンサーを通年で受託。5月下旬に東京ドイツ村(千葉県袖三浦市)で開催されたレースにブースを設置し、「のむシリカ」をレース参加者に配布したほか、9月に新潟県湯沢町で開催予定のレースでも同様の取り組みを行う予定だ。このほか、7月30日にさいたまスーパーアリーナで開催された総合格闘技イベント「RIZIN(ライジン)」にも冠スポンサーとして協賛している。

スパルタンレースの年間スポンサーにも名前を連ねている
7月30日にさいたまスーパーアリーナで開催されたRIZINも冠スポンサーとして協賛した

 一般消費者に加え、小売業の認知を高めるべく、卸売業の展示会への出展も増やしている。これまでは加藤産業の展示会のみだったが、この7月には三井食品と伊藤忠食品の展示会にも参加。「加藤産業様の展示会出展で、西日本の小売業様との取引が広がったことから、三井食品様、伊藤忠食品様の展示会参加を機により多くの小売業様との取引につなげていきたい」(Qvou担当者)と、販路拡大に意欲を示す。

髪や皮膚の健康に欠かせないシリカの含有量は世界最高水準

 小売店頭での取り扱いで市場が大きく広がった「のむシリカ」だが、ECのみで販売している時点で既に人気の高さは折り紙付だった。販売量も、17年発売時の7631箱から23年7月の約417万箱へと、6年間で約540倍に伸長し、今では、毎月10万箱以上、250万本を安定的に出荷するまでになっている。しかもリピート率も高く、業界関係者も注目するほどだ。

 また、シリカ水の中での競争力も断トツで、ECのアマゾンでのシリカ水月間売り上げシェアを比較した調査(22年1月実績)では、「のむシリカ」のシェアは28%超と、2位を10ポイント以上引き離している。こうしたECでの人気の高さが、小売店流通での売れ行きにもつながっており、これまで箱買いしかできなかったものが近所の小売店で1本から買えるようになったことで販売数量も大きく伸びたと考えられる。

 高い人気を誇る「のむシリカ」だが、その理由は、他に類を見ないシリカの含有量にある。シリカとは、皮膚や毛髪、骨、関節、歯、爪など人体のほとんどの組織に含まれるミネラルで、体内で組織同士をつなぐ役割を果たしており、これが不足すると肌荒れや抜け毛、骨折などにもつながりやすくなるため、健康維持には欠かせない。ただ、シリカは体内で生成することができないため、食事などで摂取する必要があり、その量は、成人で1日当たり約40mgと言われている。「のむシリカ」には、このシリカが1L当たり97mg含まれているため、500mLサイズを1日1本飲むだけで十分な量のシリカを摂取できるのだ。

有名ミネラルウォーターと比べても各種ミネラルの含有量は圧倒的に多い

 ちなみに、この1L当たり97mgという含有量は世界でもトップクラスで、ここに着目する小売業も多く、50店舗以上での販売を決めた大手量販店でも、シリカの含有量の高さが導入の決め手となったという。

 シリカ水の中には、化学合成したシリカを添加して高濃度をうたう商品も少なくないが、「のむシリカ」は、天然水に含まれるシリカのみで高濃度を実現している。Qvouによれば、シリカは、ナチュラルミネラルウォーターからの摂取により最も吸収率が高くなると言われており、同社の製品は、霧島連山の麓、宮崎県小林市の水源の中で数本ある水脈のうち、1L当たり97mgのシリカを含む1本の水脈からだけ採水するため、自然由来のシリカを豊富に含んでいるのだ。

 シリカ以外の天然ミネラルの含有量も多い。二日酔いや胃腸の改善に役立つと言われる炭酸水素イオンが1L当たり170mg含まれるほか、カルシウムとマグネシウムは、吸収率が最もよいとされる2対1の黄金比率で含まれている。

 飲みやすさも「のむシリカ」の特長だ。水の飲みやすさは、主に水の硬度によって決まる。カルシウムおよびマグネシウムの含有量が少ない軟水ほど飲みやすく、逆に含有量が多い硬水ほど飲みにくい。様々なミネラルが偏りなくバランスよく含まれる「のむシリカ」は、硬度が中程度の「中硬水」に分類され、ミネラル分をしっかり摂取できるうえ、飲みやすいというメリットがある。

「のむシリカ」は中硬水のナチュラルミネラルウォーターだ

 加えて、おいしさも魅力の一つだ。シリカには、料理の味を引き立たせる効果もある。「のむシリカ」で炊いたご飯は他の水を使った場合より艶が増すうえ、深いコクと甘みが感じられる。更に、お酒の水割りや水出し茶も、「のむシリカ」を使うと、他の水よりもコクと旨みが増し、特にお茶は鮮やかな色になるという実験結果が発表されている。

1本600円の2Lサイズの取り扱いにも積極的

 こうした「のむシリカ」の特長を評価し、取り扱いを始める小売業が増えており、その数は冒頭に記した通り、半年で50社近くに上る。また、既に取り扱いを開始した小売業は売れ行きに手応えを得て、積極的な販売に乗り出すところも出てきた。ある大手スーパーでは、500mL入りの商品が好調なことから、2L入り商品の取り扱いにも意欲的で、「1本600円近くするにもかかわらず、10トントラックで納品するなど、大量の導入を決めている小売業様もある」(Qvou担当者)ほどだ。また別の大手スーパーでは、導入時、エンドで大量陳列する販促を行ったのに加え、新たに酒類との関連販売も計画しており、ウイスキー売り場の近くに「のむシリカ」を陳列し、割り材としての活用を提案するプロモーションを検討中だ。このほか、ドラッグストアをはじめこれまで取引のなかった小売業からの引き合いも多数寄せられており、今後、商品の取り扱い業態は更に広がると見られている。

500mLだけでなく2Lの商品を積極的に導入
小売店流通での取り扱いが増えたことで販売量の増加ペースも速まった
お酒の割り材としての利用も提案している

 Qvouでも、販促用のキットを用意し、大量陳列に対応するなど、急拡大する需要を確実に取り込むための支援体制を整備。ミネラルウォーターの最需要期、夏本番に向け、販売数を更に伸ばしていく構えだ。

■問い合わせ先卸一覧
 ・国分グループ本社株式会社
 ・加藤産業株式会社
 ・トモシアホールディングス株式会社
 ・三井食品株式会社
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