男性の尿モレ対策でも専用品利用を当たり前に

 ユニ・チャームは、2023年上期の重点分野の一つに男性用軽度失禁市場を掲げ、全社を挙げてその活性化に取り組む。「軽度失禁市場で6割以上のシェアを持つ企業として、男性用商品の潜在需要を掘り起こし、専用品の利用を当たり前にすることで、シニア男性の快適な生活をサポートしたい」(ユニ・チャーム)と意欲を示す。

 高齢化の進展により25年には人口の3割を65歳以上の高齢者が占める見通しだ。また、40年男性の尿モレ対策でも専用品利用を当たり前に前と比べると平均寿命は約8年延伸し、高齢期間が長期化。これに伴い大人用のおむつを始めとする排泄ケア用品の需要が拡大している。店頭で販売される排泄ケア用品の総額は、15年の約862億円から25年には約1300億円と、10年で約1.5倍に拡大すると見られている。中でも伸びが大きいのが軽度失禁市場で、この間約1.9倍に拡大する見込みだ。加齢に伴い軽度失禁の悩みを抱える層が40代以上で増え、とくに高齢者の就業率が高まる中、より長く快適に働き続けるために必要なケア用品の一つとして需要が伸びている。

 ただ、市場を男女別に見ると、女性用は直近15年間で市場規模が約3.5倍に拡大したのに対し、男性用は直近10年で約1.6倍と、女性用に比べ伸び率が低く、とくにここ数年は横ばいが続いている。

 また、女性は、生理用品やフェミニンケア用品を使う習慣があることから、軽度失禁についても専用品を使うことへの抵抗感が低い。それに対し、男性は、専用品を使うことへの抵抗があるだけでなく、そもそも専用品の存在を知らない層も多い。加えて、男性用トイレにサニタリーボックスの設置がなく、捨てられないという現実もあり、大半の人がトイレットペーパーで応急処置をしているというのが実態だ。

 そこでユニ・チャームでは14年から連続した商品ラインの追加とテレビCMの投下により男性用専用品の利用促進に努めてきた。そうしたこともあり、現在、認知度は尿モレ失禁者ベースで40%まで伸長、販売額も市場全体の8.1%を占めるまでになっている。加えて、「最近は、自治体担当者や流通の経営幹部の間では、サニタリーボックスの設置が必要との認識も高まっており、設置場所も徐々に増えつつある」(ユニ・チャーム)と利用しやすい環境も整ってきた。こうした状況を受け、ユニ・チャームは、40代以上のちょいモレ困窮者のニーズに対応し、専用品利用を促すことが軽度失禁市場全体の活性化につながると見て、そのための取り組みに力を入れる。

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