単価アップとサブカテ使用者増加で生理用品市場は拡大
「共生社会の実現」を目指すユニ・チャームは生理用品の技術力を生かし、少子化対策に乗り出した。2022年の日本の出生数は初めて80万人を割るなど、国の推計値より11年も早いスピードで少子化が進行している。その一方で妊活の関心者は約315万人、妊活実施者は約137万人にものぼり、子どもを望み妊活に取り組む人は非常に多い状況である。
こうした社会環境に対し、23年秋成長戦略共有会で高原豪久社長は「当社は四世紀前から他には全くない独自性のある商品作りにこだわってきました。今回も『SDGsの達成』への貢献をパーパスに掲げ、独自技術による商品やサービスで女性の妊活をサポート。女性の活躍を応援するフェミニンケアを起点にベビーやウェルネス、ペットのケアをつなげ、ライフタイムバリューの最大化で業界総資産拡大を図ります」と社会意義が高い商品への意気込みを語った。
また少子化と同時に生理対象人口も減少を続け、今後も対象人口は減少していくと予想される。その中でユニ・チャームでは、女性1人ひとりのニーズに合わせた商品への価値転嫁を図り、生理用品市場の単価アップに貢献してきた。23年のナプキン市場は、すでに2個パック入りのスタンダード商品の売上構成比は2割弱まで低迷し、逆にピース単価の高いベスト商品の構成比は7割を超えて伸長、さらにプレミアム商品も1割超で好調に推移している。ユニ・チャームは、これらナプキンの単価アップ促進に加え、サブカテゴリー用品の使用率拡大と軽度失禁対応商品の使用者を増やしてきた。その結果、生理用品は21年から成長市場に転じている。
生理用品のトレンドでは、コロナ禍のストレス増加に伴い、フェミニンケアに対する意識が変化し、より良いプレミアム商品へのニーズが高まった。直近の新たな買い物傾向ではSNSなどの事前の情報収集の変化で、ブランドを重視した購入意向がより明確化し、さらに生理の悩みをオープンに発信できる社会変化によって、サブカテゴリー用品の購入も増えている。