首都圏で展開する食品スーパーのヨークはこのほど、国際規格に準拠した水産物の認証制度である「MEL認証」を取得した。6月30日からMEL認証取得の三重県産マダイを皮切りに、鹿児島県産ブリ、同カンパチ、三重県産ヒラメの計4魚種にMELマークを付与、ヨークフーズ、ヨークマート、ヨークプライスなど100店舗で販売を開始した。

 MEL認証は環境に配慮して漁獲、養殖した水産物に関する日本発の認証制度だ。2016年に発足したマリン・エコラベル・ジャパン協議会が運営。19年に国際的な機関から国際基準を満たしているとの承認を得た。漁業、養殖、流通加工の3分野の認証があり、ヨークは流通段階の認証を取得した。セブン&アイグループではイトーヨーカ堂が20年に一足先に取得しているが、食品スーパーというくくりでの取得はヨークが初となる。

MEL認証取得の「伊勢まだい」をコーナー化したヨークマート小豆沢店の売り場。認証魚はパックの右上にMELマークのラベルをつけて展開

 取り組みの背景にあるのは、セブン&アイグループとして掲げる環境宣言「GREEN CHALLENGE 2050」だ。ヨークとしては、今回の認証取得を「持続可能な調達」の一環として位置付けている。「これまでもグループのPBなどではMSC・ASC認証の商品を取り扱ってきたが、インストア加工の鮮魚については日本発の国際基準で対応したい思いがあった」と食品事業部鮮魚部の楢崎智史マーチャンダイザーは語る。

 展開初日の6月30日、ヨークマート小豆沢店(東京都板橋区)では、鮮魚の棚の1角にMEL認証取得魚の専用コーナーを設置。MELマークについて説明するPOPとともに、「伊勢まだい」の切り身や刺身用サク、お造りなどを並べた。楢崎マーチャンダイザーは、「まずは4魚種について、お客様に取り組みの意義を伝えながらしっかり販売していく。ゆくゆくは生産者と連携しながら、魚種・ボリュームを拡大していきたい」と展望を語った。

 昨今の環境意識の高まりとともに、小売業のSDGs対応は拡大・深化している。マリン・エコラベル・ジャパン協議会によると、直近でMEL認証に関する小売業からの問い合わせも増加しているという。冠野尚教事務局長は、「ヨークさんとの取り組みをきっかけに、さらに業界、消費者の皆様に水産資源に関する持続的な取り組みの認知を広げていきたい」と期待を込めた。

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