ファミリーマートは、3月31日、同社初となる一般客向けの無人店舗「ファミマ!!サピアタワー/S店」を、東京・丸の内のサピアタワー1階に出店した。JR東日本傘下のスタートアップ、TOUCH TO GO(TTG)の無人決済システムを導入した店舗で、この仕組みの導入店としては、TTGの直営店、紀ノ国屋の小型店に続く、3店舗目になる。

 TTGの無人決済の仕組みはシンプルだ。カメラとセンサーでお客が手にした商品を把握し、代金を算出、決済エリアのモニターに購入商品と金額を表示すると、お客が内容を確認し、現金、交通系電子マネーやクレジットカードを使い、セルフサービスで代金を支払うというもの。多くの企業が開発を進めるレジレスの無人店舗と異なり、事前登録がいらず、誰でも利用できる点が特徴で、特に今回、現金払いにも対応したことで、先に出店した2店舗と比べても利便性が高まった。なお、現時点では、ファミペイは利用できないが、将来は、ファミペイを含めコード決済にも対応する方針だ。

 店舗面積は55平方mで、商品数は約700アイテム。生活雑貨と加工食品の品数を減らし、センサーで把握が難しい冷凍食品やカウンターフーズ、無人で販売できないたばこも品揃えから除いたが、それ以外の弁当・飲料などの品揃えは、従来型の同等規模の店舗とほぼ同じだという。また、バックヤードに常駐する店員が年齢確認をすることで、酒類の販売も可能にした。

 店内には店員の姿はないが、品出しや緊急時の対応などのために、バックヤードに常時1名が待機する。通常、この規模の店舗であれば従業員は2人以上が必要だが、レジを無人化することで1人での運営を可能にした。ただ、アルバイト1名の人件費程度のシステム使用料がかかるため、狩野智宏執行役員ライン・法人室長は、「何とか運営を工夫してコストを下げ、これまで難しかったマイクロマーケットへの出店を果たしたい」と考えている。

 なお、2号店の出店については、「何カ所か候補を挙げて出店を検討している。この1号店でシステムの不備などレビューをしながら次の開店につなげていく」(狩野室長)計画で、これに先立ち、TTGとの協業を強化すべく、2月26日には同社との間で資本業務提携契約を締結した。

モニターに購入商品と決済金額が表示されるので、内容を確かめた上で代金を支払う

(冒頭写真 東京・丸の内のサピアタワー1階にオープンしたファミマ!!サピアタワー/S店)