500円の野菜セットを毎週金曜日に入荷

 新型コロナウイルスを想定した「新しい生活様式」が広がる中、ローソンが生鮮野菜の販売を強化している。6月26日から全国約1万5000店舗で販売を開始したのが、使用頻度の高い野菜をワンコインで揃えられる「野菜セット」(税込500円 ※沖縄県は税込323円)だ。セット内容は、じゃがいも、玉ねぎ、にんじん、きゅうり、プチトマト、しめじ、ピーマンなど。店舗によって含まれる野菜の種類や数量、産地は異なるが、概ね7種類程度の野菜を少量ずつまとめて販売する。毎週金曜日に入荷し、1店舗あたり約10パックずつ並べる。ローソンはこれまでも一部店舗でカット野菜や青果を販売していたが、全国1律での野菜セットの販売は初めての取り組みだ。

使用頻度の高い野菜がワンコインで揃う野菜セット

 新型コロナ感染拡大に伴う外出自粛を受け、近場のコンビニで生活に関連する品をまとめて購入する需要が増えている。自宅で調理する家庭の増加も相まって、ローソンでも生鮮品、日配食品、冷凍食品、調味料など、内食カテゴリーの売り上げが好調。特に青果の販売額はこの5月度、前年比約2割増となった。「コロナ禍でスーパーが過密になるケースも増えており、近くのコンビニで生鮮野菜も揃えようというお客様が増えている。特に住宅立地においてニーズが高まっている」(コミュニケーション本部広報部 榎本章マネジャー)。

 売れ筋は、定番のじゃがいも、にんじん、玉ねぎなどで、こうした商品は袋販売のほか、店舗によってバラ販売も強化している。また、カットねぎ、干しいも、きゅうり1本漬けなどの加工品も伸長しているという。今後も販売方法や品揃えを随時検討しながら消費者に向けて生鮮野菜を提案していく考えだ。

毎週金曜日に全国の店舗で展開

休業の「道の駅」の産直品を引き取って販売

 新型コロナに関連したローソンの野菜の取り組みはこれだけではない。ゴールデンウィークの期間中には、休業となった「道の駅ましこ」(栃木県益子町)で販売する予定だった青果を引き取り、横浜市内および川崎市内のローソン5店舗で販売を行った。

ゴールデンウイークの期間中、休業となった「道の駅ましこ」

 実施期間は5月4日から7日の4日間で、益子町産のなすやロメインレタス、とちおとめ、青パパイヤなど、約10種類の野菜・果物を展開。一部店舗では栃木県産の野菜を詰め合わせた「おまかせ野菜ボックス」を数量限定で販売した。

「道の駅ましこ」で販売予定だった青果をローソンが買い取り、5店舗で販売した

 産地と店舗をつなぐ物流には、アップクオリティ社が運営する、高速バスの空きトランクを使った貨客混載「バスあいのり」のスキームを活用。新型コロナで打撃を受けた農家を支援するとともに、利用者が減少するバス運営会社への支援にもつなげた。ゴールデンウィークに遠出することのできなかった消費者にとっても、「ちょっとした旅行気分が味わえる」と好評の取り組みとなった。今回は店舗を絞った展開となったが、今後も期間中の販売実績、消費者の反応を検証しながら、「道の駅」の商品を店舗で販売する仕組みの拡大を検討していく方針だ。

産地と店舗をつなぐ物流には、高速バスの空きトランクを使った貨客混載「バスあいのり」のスキームを活用した

 ローソンは生鮮野菜の取り扱い強化で、高まる消費者ニーズに対応。同時にコロナ禍で打撃を受ける業界との協業を通じて、日本の「食」をもり立てていく構えだ。