売り場レイアウト変更で売り上げが10%アップ
ローソンは、コロナ下で消費者の購買行動やニーズが激的に変化したことを受け、2020年9月に竹増貞信社長を委員長とする大変革実行委員会を立ち上げた。アフターコロナに向けて「新しいコンビニの実現」を掲げた同委員会では、「グループデータ一元利活用」「顧客起点サプライチェーン改革」「店舗理想形追求」など計12のテーマのプロジェクトチーム(PJT)と脱炭素活動(SDGs委員会)を設置し、それぞれ検討を進めてきた。
このうち、店舗理想形追求PJTでは、お客の日常生活を支えるに足る在り方を追求し、実証実験を行ってきた。その成果の一つが、店内調理の「まちかど厨房」や冷凍食品、デリカ・デザート売り場のレイアウト変更だ。具体的には、まちかど厨房を他の商品と買い合わせしやすいように米飯ケースとカウンターの間に設置。冷凍食品はリーチインケース3枚と、2台に増設した冷凍平台に陳列することで、商品数を60品から110品へ拡大している。デザートもラウンドケースを2台にすることで、ラウンド形状を従来の180度から360度へ改め、買い回りのしやすさを向上させた。
こうした改装を今上期に約800店舗で実施したところ、売り上げが約5~10%改善し、中でも冷凍食品は4割アップという大きな成果を上げている。今期中に約5000店舗規模の改装を予定しており、長期的には8000店舗規模までの拡大を視野に入れている。竹増社長は、「全店一律ではなく、個店に合わせた改装を行っている。改装を重ねることでデータを増やし、より精度の高い改装につなげたい」考えだ。
カテゴリー拡大や機能強化で進化する冷凍食品
商品開発でも改革は進められた。巣ごもりと増加する内食需要に応え、冷凍食品のカテゴリーを米飯や麺、素材、惣菜に加えてデザートにまで拡大。冷凍食品の売り上げは、20年度は15年度比で約2倍に伸長している。竹増社長は、「冷凍食品の売り上げを拡大する上で品質向上が不可欠。お客様に『ローソンの冷凍食品はおいしい』と認知いただくことが重要」と指摘する。
さらにSDGsの意識が高まっていることも挙げて、「冷凍食品は廃棄がほとんど出ない。ストックと即食の双方の需要に対応し、バラエティー豊かに商品を展開することで食品ロス削減にもつなげたい」と持続可能性の追求も目指す考えを示した。藤井均上級執行役員商品本部長も「ローソンだからできる新しい冷凍食品の品揃えでお客様の生活を支えたい」と力を込める。こうした取り組みで冷凍食品の売り上げを25年度は20年度比の5倍に拡大する方針だ。
また、機能面でも向上を図った。容器ごと電子レンジで温められて、皿への取り分けが不要なものをはじめ、チャック式パッケージ採用で複数回に分けて使用できるもの、使用原料の国産化などを推進している。
ローソンの変革へのチャレンジはこれらにとどまらない。21年11月には、ストック需要や3食の内食需要対応に加えて、デザート、冷凍弁当、健康意識の高い人向けには、生地にブランを使用し、1個当たり4.8gという低糖質を実現したベーカリー、安心安全な畜産・水産品など計12商品を発売。特に畜産・水産品は、最新のアルコール凍結技術により、解凍してもドリップが出にくく、鮮度感のある商品に仕上げている。
世の中が変化し続ける中、コンビニエンスストアに、新たな”便利さ”が求められており、その対応にむけて、ローソンではあらゆる分野で改革を進めている。ローソンは「大ピンチのコロナを大チャンスに変えていきたい」(竹増社長)という強い覚悟を持って、新たなコンビニ像の具現化に邁進している。