日常使い需要にアプローチ
2026年2月21日、全国の日焼け止め売り場にアネッサ(ANESSA)の什器が一斉に並んだ。目玉商品は、日常使いに適した「デイリーシリーズ」の「パーフェクトUV スキンケアジェルNB」「ブライトニングUV ジェル NA(医薬部外品)」。それとメイクの上から塗り直せる「パーフェクトUV ブラッシュオンパウダー」(冒頭写真)だ。資生堂ジャパン ブランドマーケティング本部 セルフサンケア・スキンケアマーケティング部 アネッサグループ 伊藤成彦ブランドマネージャーは「営業部門と連携し、取引先の戦略に沿った提案を心掛けたとはいえ、売り場の数は想定以上の成果です。ブランド認知の高さを生かしたマーケティング戦略により、店頭への送客を必ず実現し、売り上げ拡大に貢献したい」と意気込む。


アネッサの売り場の立ち上がりが良いのは、流通各社の期待値が高まっているからだ。その要因は四つある。一つ目は、日焼け止め市場の拡大である。日本の夏は長期化し、酷暑が常態化。厳しい残暑も日数が伸びている。UVケアに対する消費者ニーズは大きく変わり、紫外線防御効果はもちろん、肌を美しく見せるスキンケア効果、使いやすいテクスチャーなど、高付加価値品を求める傾向が強くなっている。日焼け止め市場のCAGR(年平均成長率、21~25年)は8.0%と勢いがある*1。
*1 出典:SLI(期間:21年1月〜25年6月)
二つ目の要因はアネッサの成長が続いていることだ。25年は酷暑環境の需要を取り込むために、プロスケートボーダーの堀米雄斗をブランドアンバサダーに起用。ブランドの中心アイテムで、金ミルクという愛称で呼ばれる「パーフェクト UV スキンケアミルク NA」のCM「サラッと、最強。」篇、ブランドムービー「太陽は、挑戦を笑わない。」篇を公開。それが、さらさらな使用感と最強の紫外線防御効果が掛け合わさり、大きな話題になった。
また、マツキヨココカラ&カンパニー専売品として発売した「パーフェクトUV ブラッシュオンパウダー」は、メイクの上から手軽にUVカット効果をプラス。持ち運びにも便利なブラシ一体型のパウダータイプで、べたつかず、手も汚さずにすむ使用感とテカリも抑えて、ふんわり自然な仕上がりが続く効果実感が消費者ニーズをとらえた。発売2カ月で年間販売目標32万個の出荷を完了。九つのベストコスメアワードを受賞するなど、大ヒット商品になった。「アネッサは、インバウンドを除くローカル売り上げのみで、前年比24%増。特に金ミルクは同117%増と大きく成長しました」と伊藤ブランドマネージャーは破顔。アネッサの商品は、今、消費者の注目を集めている。
26年の新商品への流通各社の期待値も高い。満を持して全国発売に切り替えた「パーフェクトUV ブラッシュオンパウダー」はもちろん、デイリーシリーズの「パーフェクトUV スキンケアジェル NB」と「ブライトニングUV ジェル NA」の2品が店頭を占拠。同シリーズは湿度環境に合わせて肌上の水分バランスを一定に保つ、独自の「オートモイストバランス技術」搭載。湿気を感じるときは肌の上の水分を放出し、乾燥を感じる肌には水分を与え、快適な肌感触をキープする。紫外線から肌を守り、未来のシミまで防ぐ*2。スーパーヒアルロン酸&コラーゲンGL*3などのスキンケア成分配合で素肌をケアするのも特徴だ。
*2 日焼けによるシミ・ソバカスを防ぐ
*3 (保湿) アセチルヒアルロン酸Na、水溶性コラーゲン、グリセリン
「ブライトニングUV ジェル NA」には、3種の「忍ばせパール」を配合したラベンダーピンクカラーで黄ぐすみのない明るい肌へ補正する。美白*4有効成分m-トラネキサム酸*5や新配合の「ダブルティー クリアエッセンス*6」を含むスキンケアジェルにより、透明感の鍵となる「シミ予防・かさつき・乾燥くすみ」にアプローチする。日常で目にする太陽のキラキラとしたさりげない光をパールとグラデーションで表現したパッケージデザインを採用している。
*4 美白とは、メラニンの生成を抑え、シミ・そばかすを防ぐこと
*5 トラネキサム酸
*6 (保湿) チャエキス、紅茶エキス、濃グリセリン

デイリーシリーズは既存の90gサイズに加えて、持ち運びに便利な40gサイズを追加。「手を伸ばしやすい価格にしたのは、現品陳列を推進し、トライアルを獲得するためです」と伊藤ブランドマネージャーは強調する。
店頭什器の改良でお客を取り込む
三つ目の要因は、26年2月6日に俳優の長澤まさみをブランドの新ミューズに迎えたことだ。長澤はデビューから現在に至るまで、自然体な美しさや演技力、親しみやすい人柄で老若男女を問わずファンを獲得。さらに中学生の頃からアネッサを愛用しており、美を保ち輝き続けている姿がアネッサのパーパス「Free to Shine(太陽のもと、誰もが輝ける世界へ)」を体現していることから、新ミューズに起用となった。
2月21日発売のデイリーシリーズの新CMでは、白いパッケージの世界観に合わせた真っ白な衣装を身にまとった長澤が商品を手に取り、強い日差しから守られ、使うたびにスキンケアできる高揚感を演じ、光り輝く街に颯爽と歩きだす様子を描いた。さらに金ミルクの新CMでは、炎天下の中でも、「わたしの肌はくずれない。」というセリフの通り、鮮やかなブルーの衣装を身にまとった長澤のくずれない肌にフォーカスしている。
「最強の紫外線防御効果をもつアネッサはレジャー需要を捉えています。長澤さんの起用により、ビューティーのイメージが醸成され消費者に浸透すれば、デイリーケア(日常使い)需要も取り込めます。新CM公開直後からSNS上でポジティブな反応が広がっており、日常使いのイメージ確立に向かっています」(伊藤ブランドマネージャー)
四つ目の要因は、什器の大幅な改良である。例えば、上置き販売台は、アネッサからデイリーシリーズが登場したことをフックにしつつ、搭載技術や配合成分をベースとした肌への効果訴求により、日常使い向けという生活者の認識・理解を確かなものにし、トライアル獲得を図るように改めた。プロモーションと連動したキービジュアル・キーコピー、アネッサロゴ、新発売したことがわかる「NEWロゴ」により消費者が什器の前に立ち止る効果を得た。上下段でシリーズ毎に明確にエリアを分けているからテスターを試しやすく、商品もピックアップしやすい。そして、スペック、価格、定評感訴求(ベストコスメ受賞数など)があるから、購買意欲を引き出せる。「昨年よりも大幅に什器に高さをつけることで、お客さまの視認性が格段にアップしています」と伊藤ブランドマネージャーは説明する。



さらにフロア販売台も上置き販売台と同じく「日常使い向け」という生活者の認識・理解を獲得し、トライアル獲得を図る。
そして26年から吊り下げ販売台も用意した。プロモーションと連動したキービジュアル・キーコピー、NEWロゴ、ブランドロゴで興味を引き出し、成分画像・各アイテムのコピー、価格・スペックで購買を促す。「テレビCMやSNSを中心とした話題化、滝のような汗をかいても崩れないことを示すためにアイドル・アスリートとのタイアップなど、お客さまの興味を引き出すマーケティング施策を仕掛け、全国に立ち上がったアネッサの売り場に呼び込み、デイリーシリーズとパーフェクトUV ブラッシュオンパウダーをヒットに導きます。ブランドに勢いをつけて、6月以降の盛夏では最強の紫外線防御を持つ金ミルクを大々的に訴求していく」(伊藤ブランドマネージャー)
アネッサは、日焼け止め市場の男性需要獲得にも挑んでいる。25年にプロスケートボーダーの堀米雄斗をブランドアンバサダーに起用したのは、男性向けプロモーションの効果を測る目的もあった。7月と8月の盛夏において、アネッサのメンズ売上高は前年比30%超増で、市場伸長率13%増を大きく上回った。年代別では20代のカテゴリー新規率が約70%と断トツに高い。20代、30代の男性ブランド認知率は10%以上増の約70%と大幅な伸長が見られ、男性ブランドアンバサダー起用によるブランドイメージの刷新はもちろん、男性が好む「さらさらテクスチャー」、男性が納得する「最強の紫外線防御効果」の掛け合わせにより、アネッサの購入意向促進につながった。「男性のUVケア需要は、適切な接点と訴求を組み合わせれば、一気に顕在化する」と伊藤ブランドマネージャーは見込んでいる。

アネッサは26年3月21日、メンズ肌の紫外線ケアだけでなく、スキンケア機能によって男性特有の肌悩みをマルチにケアする「アネッサ マルチ コントロールUV ジェル(通称 アネッサメン)」をマツキヨココカラ&カンパニー専売品として発売した。
1992年のブランド誕生以来、初めてのメンズ肌向けUVアイテムで、「男性の肌が女性に比べてバリア機能が低く、紫外線ダメージを受けやすい」という研究知見を基に、男性の日焼け止め使用率が他スキンケアカテゴリと比較して低い*7という事実に着目して開発。日焼け止め非使用の主な理由は「使うのが面倒だから」や「手がベタつくから」といった点が挙げられており*8、使用ステップの簡略化や使用感の改良を通じて、男性による日焼け止めへのイメージを改善することにビジネスチャンスを見出した。
*7 資生堂調べ 2023 年 9 月 合計 7,000 名回答 15 歳〜69 歳男性
*8 資生堂調べ 2024 年 7 月 合計 4,197 名回答 18 歳〜59 歳男性
また、男性の肌で気になることとして「乾燥・かさつき」「毛穴」「べたつき」など、年代を問わず共通した肌悩みが挙げられており*9、紫外線カットだけでなく、これらの肌悩みまで網羅的にケアしていくことが重要であると考えた。アネッサメンは、紫外線ケアに加え、「テカリ」「かさつき」「毛穴目立ち」など、男性特有の肌悩みをマルチにケア。皮脂吸着&皮脂固化のダブルケア処方、肌にうるおいを与えるスキンケア成分配合。毎日これ一本で化粧水・乳液・UV防御効果までできるジェルで、男性でもべたつかず、清潔感のある肌へと導く。アネッサメンの訴求には引き続き堀米を起用し、男性がスキンケア感覚で紫外線ケアを行える新習慣の創造を目指す。
*9 資生堂調べ 2024 年 6 月 合計 1,000 名回答 15 歳〜69 歳男性
2026年の日焼け止め市場は、アネッサ抜きには語れない状況になりそうだ。
















