定番4品の刷新は10年ぶり

 日清食品の定番カップ麺「カップヌードル ビッグ」シリーズが、10年ぶりに刷新された。対象となるのは「カップヌードル ビッグ」「カップヌードル カレー ビッグ」「カップヌードル シーフードヌードル ビッグ」「カップヌードル チリトマトヌードル ビッグ」の4品。日清食品は今回の改良を通じて、近年市場が拡大している〝大盛カテゴリー〟をさらに強化する構えだ。

 同シリーズは「カップヌードル」のビッグサイズ版として1991年に登場。以降、10〜40代の男性を中心に幅広い顧客を獲得している。とりわけ近年は物価高を背景に、「一食でしっかりお腹を満たせるコスパの良さ」が再評価され、ビッグシリーズは右肩上がりに売り上げを伸ばし、「カップヌードル」ブランド全体を牽引している。

左上から「カップヌードル ビッグ」シリーズ 〈カップヌードル〉〈カレー〉〈シーフード〉〈チリトマト〉

 こうした市場環境を受け、リニューアルでは、シリーズに求められる〝食べ応え〟を徹底的に追求。「口に入れた時の満足感をさらに高める」(土岡洋平・マーケティング部 第一グループブランドマネージャー)べく、人気具材をサイズアップし、量も増やした。

 従来、ビッグとレギュラーの具材は同じものを使用していたが、刷新後は「カップヌードル ビッグ」シリーズの「カップヌードル ビッグ」(103g、税別271円・以下同)と「カップヌードル カレー ビッグ」(121g)の〝謎肉〟を、これまでよりビッグサイズの〝大玉謎肉〟(大豆たん白入り豚ミンチ)に変更し、それぞれの具材全体を約15%増量。「シーフード」(105g)には3倍サイズの〝大ぶりカニカマ〟(カニ風味かまぼこ)を投入し、キャベツやイカなど具材全体で約14%増量。そして「チリトマト」(109g)には大玉謎肉を新たに追加し、トマト、いんげんなど具材全体で約37%増量している。それでいて希望小売価格は据え置いた。

「カップヌードル ビッグ」では、レギュラーサイズの〝謎肉〟を約1.05倍に大きくした〝大玉謎肉〟を投入した

 さらに具材のサイズ感を視覚的に訴求するため、パッケージもリニューアルを図った。従来は上部に「BIG」の文字を大きく配したシンプルなデザインだったが、今回は「BIG」の上に「謎肉増量」「カニカマ増量」といった文言を商品ごとに明記。加えて横には具材の大きさが一目で伝わる写真アイコンを配置し、「POPのような効果」(土岡ブランドマネージャー)を狙っている。

 このリニューアルに先立ち、日清食品では昨年秋にこの4品を対象に、謎肉とカニカマを従来品よりサイズアップした「大きな具材キャンペーン」を期間限定・数量限定で実施。その際、ユーザーから「想定以上の高評価をいただいた」と土岡ブランドマネージャーは破顔。今回は期間限定・数量限定ではなく、定番品のリニューアルでこれまで以上に長くお客にビッグシリーズを楽しんでもらいたい考えだ。

ビッグシリーズ初のテレビCMを放映

 10年ぶりの刷新に合わせて、販促活動も一段と強化する。ビッグシリーズでは今回、初めてのテレビCMを9月下旬より放映を開始した。内容はパッケージと同様に具材増量と〝BIG化〟を前面に打ち出したもので、土岡ブランドマネージャーは「具材をキャラクター化することでの愛着を持ってもらえるようなコンテンツ」と自信を見せる。

ビッグシリーズ初のテレビCMでは、10年ぶりのリニューアルを盛り上げる

 また、テレビCMと連動して様々なデジタル施策も投下する計画だ。そのうちの一つ、インフルエンサーを起用したコラボレーション企画では、「見た目のインパクトはもちろん、実際に口に入れた時の具材のサイズ感やおいしさを彼らに体験してもらい、その感想を通じて商品の魅力を訴求していきたい」と力を込める。

 消費者の節約志向が年々高まるなか、日清食品はこのビッグシリーズ刷新を通じて、ロングセラー商品の存在価値をさらに確かなものとしていく。