サラヤとDM三井製糖は4月、両社が賛同する「熱中症予防声かけプロジェクト」の一環として、清涼飲料水「ノマナイトウォーター」2種(レモン風味・アップル風味)を発売した。〝寝る前に飲む〟という新発想で、就寝中の発汗などで失う水分を事前に補給する。経口補水液、スポーツ飲料に次ぐ「第3の選択肢」として推奨していく。

4月21日、サラヤとDM三井製糖の両社はプレスセミナーを開催した

 近年の気温上昇により熱中症患者は年々増加している。4月21日に開催されたプレスセミナーに登壇した同プロジェクトの実行委員を務める三宅康史氏(左から2番目)によると、熱中症被害の約5割が屋内での発生であるほか、救急搬送者の約6割が高齢者であるという。

 熱中症対策としては、既に厚生労働省が朝・晩の水分補給として「コップ1杯の水分摂取(150〜250ml)」を推奨しているが、夜間の水分補給については課題が残る。特に高齢者は「夜間のトイレが気になる」などの理由から寝る前の水分補給を控えてしまう傾向があるためだ。三宅氏は、高齢者について、「身体の水分量」「体温調節機能」「喉の渇きの感度」の三つが低下しているため「特に注意が必要」と呼びかけた。

 今回発売した「ノマナイトウォーター」はこうした課題解決に向けて開発された商品だ。DM三井製糖の低GI糖質「パラチノース」とサラヤの「高純度羅漢果(ラカンカ)エキス」2種の植物由来甘味料が大きく寄与している。

 パラチノースは、「小腸全体で吸収されることで体の中に水分がゆっくり運ばれるため、『飲んでからトイレに行くまでの時間が長くなる』ことが期待されるほか、糖質の吸収もゆっくりになるため、夜間の糖血糖、翌朝の低血糖を防ぐ」(DM三井グループ研究所・坂崎未季氏、写真左から3番目)効果がある。

 一方、高純度羅漢果エキスは、飲みごたえの部分をサポートする。「(飲むことを)習慣化するための甘さがパラチノースだけだとどうしても足りない。そこに高純度の羅漢果エキスを加えることで、より砂糖に近いような甘みを実現させている」(サラヤ・コンシューマー事業本部 マーケティング部・森京貴志氏、写真一番右)。なお、高純度羅漢果エキスは、中国の桂林原産のウリ科植物である「羅漢果」から抽出した甘味成分。砂糖の約300倍の甘さがあり、カロリー・糖類ゼロを実現しているサラヤの特許成分だ。

 このほか、ナトリウムやカルシウムなどのミネラルをバランスの良い濃度で調整するなど、健康維持のための栄養素もしっかり配合している。

 両社はこの「ノマナイトウォーター」で高齢者から子どもまで、幅広い層の熱中症対策につなげるほか、長距離ドライブや長時間会議の前などトイレに行きにくい様々なシーンでの利用も促していく方針だ。