近年、世界中で猛威を振るっているのが危険害虫による被害の増加だ。地球温暖化による〝夏の長期化〟が進行。また、ヒアリやトコジラミなどの危険害虫が数多く発生し、人々の生活を脅かす被害が後を絶たない。こうした環境の中、世界に先駆け液体用殺虫剤「強力フマキラー液」の開発に成功したフマキラーは、150年余の研究知見を生かした商品開発力で、世界各国で広がる害虫被害に真っ向から向き合っている。2025年は、新技術を搭載した殺虫剤19SKUをラインアップ。生活者、地域ニーズに即した売り場展開を強化し、殺虫剤カテゴリーを〝年間商材〟へと育成していく。

飛び回る虫も一撃、未来のエアゾール製品が誕生

 24年の殺虫剤市場は、前年比106%の約1380億円と大きく伸長した。天候不順により、4~11月は夏日が継続し、春にカメムシ、秋には蚊などの害虫が多く発生したことで殺虫剤需要が拡大。今や殺虫剤は冬季を除き生活に欠かせない商品となっている。

 カテゴリー別では、ゴキブリ、ダニ、人体虫よけ用の殺虫剤が市場拡大に寄与し、中でも人体虫よけは前年比110%と2桁で伸長し、コロナ禍以降のアウトドア需要の高まりから、年代を問わず幅広い層の購入者を獲得した。こうした追い風基調の中、フマキラーは同カテゴリー前年比126%と市場を大きく上回り、カテゴリーシェアナンバーワンに輝いた。

 今後の殺虫剤市場について、大下一明社長は、「市場の拡大や『年間商材化』の流れは急速に進んでいく」と予測。25年も世界中で広がる危険害虫被害の解決に向けて「最先端の開発力と長きにわたる知見を駆使し、本物のものづくりを強化していく」と力を込めた。

 中でも25年、フマキラーが一押しと胸を張るのが、ハエ・蚊・ゴキブリ、トコジラミにも効果のある「フマキラー ワンショット未来」(防除用医薬部外品・140mL、冒頭写真)。既存の「フマキラーAダブルジェット(防除用医薬部外品)」の2倍の噴射スピードと、虫への付着性を高めたフマキラーの粒子コントロール技術により、飛び回る虫をしっかり直撃。加えて、持ちやすいコンパクトサイズであることや、ベタつきにくいクリーン処方など、顧客目線の〝使いやすさ〟にもこだわっている。

 殺虫剤の中でもエアゾール形態は蚊取り線香と並ぶ主力マーケット。このワンショット未来をフックに、フマキラーはさらなる殺虫剤・エアゾール市場の規模拡大を目指していく。今春以降には、これらの製品価値を広く生活者に届けるべくテレビCMを放映する予定だ。

 人体用の虫よけに続き、じわじわとニーズが高まっているのが「クルマ用虫よけ剤」だ。フマキラーでは、従来品から、内容量と容器色を変更した空間用虫よけ剤「虫よけバリア クルマ用」(1個入り・2個入り)を投入する。車の内装にも馴染む「ダークグレー」を追加、容量もミニバンなど大きめの車両に対応した「2個入り」を新たに発売する。

 サンバイザーに付けるだけで、ユスリカやチョウバエを車内に寄せ付けず、その効果が2~3カ月持続するため、夏のワンシーズン利用に最適だ。無香料のため車中の芳香剤の香りを邪魔せず使えるのも魅力と言える。

 今回のラインアップ追加により、行楽シーズンの春夏にかけて、新規ユーザーの獲得を狙う。

空間用虫よけ剤「クルマ用虫よけ剤」(1個入り、2個入り)

足洗いの新習慣を提案、泡でケアするフットソープ

 昨年春、全国区で大量発生し問題となったカメムシ被害にも対応していく。満を持して発売するのが「カメムシ凍殺ジェット」(300mL)だ。

 園芸用品ではカメムシ用殺虫剤の展開はあったが、日用品として発売するのは今回が初となる。

 カメムシを駆除するときの〝イヤなニオイ〟に着目。冷却ガスと殺虫成分・ピレスロイド(フタルスリン、ペルメトリン)をダブルで配合し、カメムシ独特の臭いニオイを出す前に駆除する。また、直接駆除するだけではなく、家の周りの網戸やサッシなどカメムシの生息場所に予めスプレーをしておくことで、最大で約2カ月間のすみつきを防止することができる。

 カメムシ大量発生の原因の一つに暖冬があると言われている。長引く夏の影響で、越冬できる個体数が増えてしまっているのだ。こうした天候課題の早期解決は難しいのが実情で、今回発売のカメムシ凍殺ジェットの需要は年々高まっていくと想定される。


不快害虫用「カメムシ凍殺ジェット」(300mL)

 殺虫剤以外のカテゴリーで注目の新商品が薬用フットソープ「素足の気持ち あわケア」(医薬部外品・250mL)。昨年発売された足用デオドラント剤「同 さらパチ」(医薬部外品・80g)と同じ「素足の気持ちシリーズ」として展開し、足洗いの新習慣を提案していく。

 使い方は簡単で、ポンプから出てきたふわふわの泡を足のニオイが気になる指や指の間、足の裏などに30秒ほど擦りこみ、洗い流すだけだ。足のニオイ(イソ吉草酸)を消臭するほか、皮脂汚れをしっかり落とすことで、足まわりのトラブルの原因となる「白癬菌」や、ニオイの原因菌である「黄色ブドウ球菌」など細菌6種への殺菌効果も発揮する。(出典、医学と薬学82巻2号)

 素足の気持ち あわケアは、フマキラーがこれまで培ってきたアルコール除菌・消毒剤研究での〝消臭知見〟を生かし開発されたもの。大下社長も太鼓判を押す注目の商品だ。


素足の気持ちシリーズ「素足の気持ち あわケア」(医薬部外品・250mL)

お客目線のエンド展開で新たな需要を掘り起こす

 フマキラーでは、25年の営業政策を「市場創造」「売り場主義」「販売促進」の三つの柱の下、実行に移していく方針だ。

 その中の「売り場主義」では、顧客はもちろん、立地や地域特性に合わせた提案にしっかり取り組むことで、購買意欲を促す売り場づくりを目指す意向だ。

 特に殺虫剤販売では、早期(予防)、最盛期(危険害虫)、晩期(衛生・不快害虫)と三つの時期に合わせ、それぞれの期間に適した商品を訴求。機会損失がないよう、売り上げ拡大に努めていく。

 たとえば、殺虫剤需要が最も高まる最盛期では、カメムシの大量発生時のように、適応害虫に応じた対策の提案をしっかり打ち出す計画。最近は猛暑の影響により、最盛期で展開する商品の期間が長くなっているほか、地域によって発生する害虫も違ってくるなど、年々害虫被害を取り巻く環境が複雑化しているという。

 こうした環境変化の中、フマキラーでは、この三つの時期を気候、地域、生活者の状況やニーズに合わせて、四半期ごとの棚割り構成や品揃えを柔軟に変えながら、売り上げを引き上げていく方針だ。

 さらに25年は、エンドで展開する企画売り場の提案も強化する。フマキラーでは三つのテーマを用意。まず一つ目が、蚊やマダニ、トコジラミ等に対応する「危険害虫対策売り場」、二つ目が、自然災害での困りごとを解決する「防災売り場」、そして三つ目が、虫よけ商材との関連販売を狙う「アウトドア売り場」と「花火売り場」を前半・後半に分けて2本立てで展開する。それぞれテーマは異なるが、共通するのはお客目線の提案であること。たとえば、地域によって震災被害を受けた月が異なるため、地域住人の防災意識も違ってくる。殺虫剤売り場と同様、「お客様に近づいていく」ことで、新しい需要を掘り起こす戦略だ。

 フマキラーは昨年、広島大学の坊農秀雅教授らと共同研究を行い、世界で初めてスーパートコジラミのゲノム解読に成功した。遺伝子レベルの研究により、今後はより効果的かつ効率的なトコジラミの駆除ができる商品開発が可能となる。世界中で後を絶たない危険害虫被害。25年もフマキラーは殺虫剤業界のパイオニアとして第一線に立って戦う。

フマキラーは25年、気候変動や地域ニーズに合わせて「危険害虫対策売り場」の展開を強化していく