MZ世代をターゲットに肉のおいしさを徹底追求
ハウス食品は今春、同社の独自技術や研究成果を駆使することで、消費者の多様なニーズに応えながらも本格的な味わいを徹底的に追求した新商品を投入。従来の調理型・レトルトカレーのイメージを打破するとともに、「手軽だけどプレミアムな体験」の提案に力を入れていく。
2月10日新発売のレトルト商品「カレーでニクる。」(冒頭写真)は同社の技術の進化をフル活用した〝肉推し〟の一品だ。ラインアップ2品のうち、「牛肉」には50gの牛肉、「豚肉」には55gの豚肉が入っており、同社のレトルトカレー史上最大の肉量を誇る。また、肉の大きさも最大クラスのため、肉好きにはたまらない。通常のレトルト加熱殺菌では肉の風味が抜けてしまったり、旨みや香りがソースに逃げ出してしまったりするため、咀嚼中に肉の味が物足りなくなってしまうという課題があった。そこで本商品では、噛めば噛むほど肉のおいしさが染み出す同社の新加工技術を活用した「お肉パラダイス製法」を採用。開発担当者は「噛んだときに肉のおいしさが口いっぱいに広がる理想的な状態をパラダイスと表現し、それをレトルトで実現することができた」と胸を張る。
また、本商品では牛肉、豚肉それぞれが一番おいしく味わえるレトルトカレーになるように風味を調整。「牛肉」ではリンゴの甘みとバターの香りが特徴の欧風カレーに仕立て、牛肉に旨みと甘みを閉じ込めた。一方「豚肉」は豚バラ肉の甘みがより活きるよう、玉ねぎの旨みと生姜の香りが特徴のスパイスカレー仕立てとなっている。
本商品が開発された背景には消費者ニーズの高まりがある。2023年度、肉が特徴のレトルトカレーの販売金額は4年前と比べて120%超で伸長した。同社では、コロナ禍の内食需要でレトルトカレーを食べる機会が増加した流れから、王道の具材である肉にこだわったおいしいカレーのニーズも高まっていると考察。また、同社の調査で、レトルトカレーの肉に対してMZ世代(15~44歳)から「大きめがよい」「よりおいしくなってほしい」といった声が上がったことから、MZ世代をメインターゲットに肉が主役のレトルトカレー開発に着手した。
商品開発は20代の若手メンバーが中心となり、味以外の面でもMZ世代に刺さる仕掛けを凝らした。44の候補から決定した商品名は「肉をおいしく食べるカレー」であることが一目でわかるようにキャッチーなネーミングにしたほか、あえて「。」をつけることで〝ジワる〟(じわじわおもしろくなる)印象を演出。パッケージデザインでは「肉」という漢字を中央に大きく打ち出し、その左右に牛や豚のイラストを配置するなど、斬新かつわかりやすさで訴求する。
「ジャワカレー」にもシェフの技法を注入
また、同じく2月10日新発売の調理型カレー「ジャワカレーシェフズアレンジ」では、主に若年夫婦2人世帯の簡単・時短&上質感ニーズに応える。従来のルウカレーは「調理に時間がかかる」「材料の準備が面倒」などの理由から、忙しい夫婦2人世帯の購入率は減少傾向にあった。そのため、同社は24年2月に「バーモントカレーシェフズアレンジ」を発売。同社独自の濃縮ペーストルウ技術により、薄切り肉と玉ねぎを使用し、フライパン10分調理で、シェフがアレンジしたような上質な味わいを実現した。
今回はシェフズアレンジシリーズの第2弾をジャワカレーで展開。ジャワカレーは1968年の誕生以来、さわやかな辛さと深いコクで「大人が満足するカレー」としてラインアップを広げてきたが、新たにシェ・イノの古賀純二シェフのアレンジ技法を取り入れ、スパイスを加熱する際にすりおろしたジンジャーやガーリックを入れることで香りと旨みを引き出した。そのベースに、「焙煎スパイス仕立て」では焙煎した唐がらしやコリアンダーを組み合わせ、「鮮烈スパイス仕立て」ではカルダモンや青唐がらしを組み合わせることで、それぞれ深いコクとスパイスの香りの両立を実現。古賀シェフも「約10分のフライパン調理でこの味わいは正直びっくり」と驚く品質に仕上げた。また、第1弾と同様に2~3皿で使い切りやすい仕様で、ペーストルウは固形ルウに比べて主な油脂の融点が低いため、片付けの際にべたつかず洗い物も楽に済む。
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同商品のプロモーションでは4月以降、インフルエンサーを起用したSNS広告といったデジタル施策のほか、ターゲット層と親和性の高いウェディング関連施設や引っ越しセンターでのサンプリングも実施し、新生活のスタートを契機に認知獲得を狙う。
レトルトカレーの常識を覆す〝肉が主役〟の「カレーでニクる。」と、「簡単なのに上質な味わい」を楽しめる「ジャワカレーシェフズアレンジ」で多様化する嗜好やニーズに応えるハウス食品は、新たな価値提案を行うことで、近未来VISIONである「カレー・スパイスでお客様のうれしい食卓を創る」を体現していく構えだ。
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