江崎グリコは、2024年問題対応をきっかけに、常温商品と冷凍商品の工場からの出荷物流にTSUNAGUTE(ツナグテ)のバース予約管理システム「telesa-reserve(テレサリザーブ)」を導入している。その効果と今後の活用について、ロジスティクス部物流企画グループ 冷凍チームの高木翔太氏(冒頭写真右)と常温輸送・輸出グループ 常温チームの加藤太希氏(同左)に話を聞いた。
導入の決め手はコストと使いやすさ
江崎グリコのロジスティクス部がバース予約管理システム導入の検討に乗り出したのは2023年。常温チームの加藤氏によれば、「出荷主として2024年問題への対応が必要になっていたものの、当時、工場出荷時にどの程度トラックドライバーの荷待ち時間が発生しているかを正確に掴んでいなかった。そこでまずは実態を把握しようとバース予約管理システムの導入を決めた」という。実はそれまでもバース予約の仕組みはあったが、現場ではなかなか使いこなせておらず、荷待ちの解消につながっていなかった。そのため、新たに誰でも使いやすいシステムの導入を検討したところ、ツナグテのテレサリザーブに行きついたのだ。
冷凍チームの高木氏は、テレサリザーブの導入を決めた理由として「コスト面での魅力とユーザーインターフェース(UI)の良さ」を挙げた。テレサリザーブは、予約・受付・呼出・完了の4ステップのみのシンプルな構成で、誰でも簡単に使えるうえ、搭載する機能を必要最低限に絞ることで、利用料金も月額3万円(初期費用を除く)からと抑えている。こうした点を評価したという。

テレサリザーブの導入により、江崎グリコでは、狙い通り荷待ちの状況が把握できるようになった。「午前中に出荷が集中するため荷待ちが発生している、午後から待機時間が長くなっている、何曜日が長くなる傾向があるといったことが見えるようになった」(加藤氏)。また、「数字として実態を把握できるようになったことで、現場では認識していた課題がロジスティクス部も含めて顕在化されるようになったのは大きなポイント」と高木氏も評価する。
さらに現場でも、オペレーションがしやすくなったと好評だ。加藤氏によれば、「これまでもある程度予約時間は決めていたものの、データできちんと管理していないため、先に到着したトラックを優先的に通さなければいけないといったストレスを、工場の従業員もトラックドライバーも抱えていた。そこにツナグテのシステムが入ったことで、順番が明確になり、早く到着したドライバーにも予約時間の遵守を求めやすくなった」という。
また、ドライバーにとっても、進捗確認のわずらわしさがなくなった。システムの導入前は、先に入庫した車の積み込み状況を確認するために、トラックを降りて現場を見に行くということを繰り返していた。それが、システム導入により、順番が来ればドライバーのスマホに通知が届くため、車の中で待機すればよくなった。そうしたこともあり、「待ち時間が長い」といったクレームも減ったという。

荷待ち時間に加え、発生要因の把握も可能に
荷待ち時間が明確になると同時に、その要因も見える化されたため、対策も打てるようになった。例えば、製造した商品の保管場所に余裕がある工場の場合、保管場所であらかじめ商品検査を済ませておけるため、出荷作業もスムーズにできる。一方、保管スペースが十分に取れない工場の場合、製造後すぐに検査をして出荷する必要があり、それが荷待ちの発生要因の一つになっていた。そこで、オペレーションを見直し、検査時間を織り込んだ上で出荷計画を策定、バース予約を受けるようにしたところ、荷待ち時間も短縮したという。
ツナグテの担当者は、「荷待ち時間の短縮は、単にドライバーの到着時間を管理するだけでなく、自社のオペレーション上の課題の解消によっても実現できる。また、荷待ち時間解消の取り組みが結果として、自社の効率的なオペレーションの構築につながることも多い」と強調した。
今回のバース予約管理システム導入を機に、江崎グリコでは、物流現場の生産性向上にも取り組んでいく構え。「いろんな対策に取り組み、効果も出ているが、それが最適なのかはわからない。ツナグテさんの豊富な導入実績を元に、より効率的な対策についてアドバイスをもらえれば」と、加藤氏は期待を寄せる。また、高木氏も「バース予約管理を徹底しながら、出荷の前工程、後工程作業の生産性向上にもつなげたい」と意欲を示す。
こうした声を受け、ツナグテも、「バース予約の前後も含めて総合的にお客様の課題解決につながるよう二人三脚で進められれば」と、顧客との連携に前向きだ。さらに、26年4月から一定規模以上の企業に設置が義務付けられるCLO(チーフロジスティクスオフィサー)の支援も視野に入れており、「CLO向けレポートのようなものを提供することも、将来の我々の役割だと考えている」と力を込めた。
人件費や燃料費の高騰から物流コストは上昇が続いており、物流効率化へのニーズも高い。ツナグテに寄せられる期待もさらに大きくなりそうだ。