ウォルマートが南米チリでの展開を強化する。12月16日、チリ南部のプンタ・アレナスにおいて、同国に対し5年間で13億ドルを投入する大規模投資計画を発表した。

 この計画には、70店舗の新規オープン、4000人の新規雇用創出が含まれる。ウォルマート・チリのクリスティアン・バリエントスCEOは発表式典の席上で、「これは単なるインフラや技術への投資ではなく、人々や地域社会への投資」だと強調した。

 発表式典は、世界最南端のウォルマート店舗があるプンタ・アレナスで行われた。同地域での運営を通じて、ウォルマートは厳しい環境に対応するための供給チェーンの強化にも取り組んでいる。

 同地域は気候条件が極めて厳しく、道路閉鎖や国境通過の困難が日常的だ。そのため、ウォルマートは陸路、空路、海路を組み合わせた物流ルートを確立するとともに、「エル・オソ(熊の意味)」と呼ばれる予備保管システムを活用し、必要な商品を途切れることなく供給している。

 また、ECを活用し、世界最南端の定住地域プエルト・トロの住民 25人に商品をフェリーで届けるなど、地域社会のニーズに応えるための独自戦略も展開している。  

 2040年までに再生型企業となるというグローバル目標を掲げるウォルマートは、チリでも25年までに50店舗以上にソーラーパネルを導入し、同国での再生可能エネルギー比率を80%以上に引き上げる。また、全国に25のリサイクルポイントを新設し、廃棄物の削減と自然環境の再生に貢献する計画だ。