ウォルマートがアマゾンを強烈に意識してか、処方箋薬の即日配達サービスの全国規模での導入を発表した。処方薬と一般商品を一度のオンライン注文で配達する新サービスで、まずアーカンソー州、ミズーリ州、ニューヨーク州、ネバダ州、サウスカロライナ州、ウィスコンシン州の6州で展開し、2025年1月末までには49州に拡大する予定だ。これにより、数千万人の顧客が恩恵を受けることになる。

 ウォルマートは全米に約4600の店舗を持ち、86%以上の米国世帯に配送する体制を整えている。特に忙しい家族や高齢者、慢性疾患を持つ人々にとって、複数の店を買い回る手間を省き、一度の注文で必要なものをすべて受け取ることができるようになる。

処方薬配達は顧客が最も望むサービス

 ウォルマートの調査では半数以上の顧客が、食料品や日用品と一緒に処方薬を配達してほしいと回答している。特に時間に制約のある家族層から、このようなサービスの要望が高い。

 ウォルマートは、単に薬を届けるだけでなく、医療サービスの向上にも力を入れている。同社の薬剤師は、各地域のコミュニティに密着し、高い臨床能力を発揮している。予防接種や一般的な健康アドバイスを提供するほか、日常的な病気の治療に役立つサービスも充実しており、地域社会にとって重要な存在である。

 ウォルマート米国薬局担当シニア・バイスプレジデントのケビン・ホスト氏は「ヘルスケアは一律のソリューションではなく、地域に密着したものだ。各コミュニティには独自のニーズがある。この新しいサービスにより、薬局がより緊密な医療サービスを提供できる」と述べた。

薬局配達の利便性と安全性

 顧客はウォルマートのアプリやウェブサイトを通じて、処方薬と日用品を一括で注文できる。同日配達のスケジュールを調整する機能や、オンデマンドおよびエクスプレス配達などのオプションも今後追加される予定。エクスプレス配達では、最短30分での受け取りも可能だ。配送料金はウォルマートプラスの会員は無料で、会員以外は9.95ドルとなる。

 配達においては安全性を最優先している。処方薬は、資格を持つ薬剤師によって確認され、HIPAA(医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律)に準拠した方法で運ばれる。配達された薬は、改ざん防止包装で梱包されており、顧客はリアルタイムで注文状況を追跡できるほか、配達完了時には写真確認も行われる。