英ディスカウントスーパー大手のリドルGBは7月2日、スマートフォンによるセルフスキャン機能「リドル・アンド・ゴー」を、新たに37店舗へ拡大すると発表した。当初7店舗で実施した試験運用で顧客の反応がよかったこともあり、7月中に段階的にスコットランド、サウス・イースト、およびイングランド南部の各地域で利用可能になる。
リドル・アンド・ゴーは、会員アプリ「リドル・プラス」に組み込まれた機能。顧客は買い物をしながら商品を自身のスマートフォンでスキャンし、支出額と割引額をリアルタイムで確認しながら、レジでの精算を円滑に済ませることができる。店舗専用のスキャン端末を必要とせず、顧客自身のスマートフォンだけで完結する点が特徴だ。
当初の試験運用では、子ども連れで買い物をする顧客や、好きなように買い物を楽しみたい顧客から特に好評だったという。自分のペースで店内を回りながら、支出を把握できる点が支持された。
リドルGBのルイーズ・ヴァイゼ最高顧客責任者(CCO)は「リドル・アンド・ゴーの初期段階への反応は非常に心強いものだった。顧客からは、支出の管理と可視化ができること、自分のペースで買い物ができる柔軟性を評価する声が寄せられている。今回の店舗拡大により、この機能をより多くの顧客に届けられる。今後も意見を取り入れながら、サービスを進化させていく」と述べている。
対象となる37店舗の内訳を見ると、スコットランドが19店舗と半数を占め、エディンバラ、アバディーン、ダンディー、インヴァネス、パースなど主要都市の店舗が含まれる。残る18店舗はブライトン、ポーツマス、ベイジングストーク、ソールズベリーなど、イングランド南部・南東部の店舗である。
デジタルは投資の一環、有人レジは維持
今回の拡大は、リドルGBが進めるデジタル分野への投資強化の一環である。同社は買い物をより簡単に、より便利に、より柔軟にすることを狙いとしつつ、従来の支払い方法と有人レジは全店舗で引き続き利用可能にするとしている。
同社は今年、リドル・プラス上の個別化クーポンへの投資を60%増額したほか、5月には新たなポイント制度「リドル・ポインツ」を導入した。同制度は、顧客が割引の使い方を自身でより柔軟に管理できるポイント利用の仕組みである。このほか、アプリ決済機能「リドル・ペイ」、事前予約・店舗受け取りサービス「クリック・リザーブ・アンド・コレクト」、買い物リスト機能などをアプリに統合しており、同社は「他のスーパーマーケットに単に追随するのではなく、技術によって買い物体験全体の質を高める」と説明している。
ドイツ発祥のリドルGBは1994年に英国へ進出し、現在はイングランド、スコットランド、ウェールズに1000店舗超と13の物流センターを持ち、従業員数は3万5000人を超える。2024年度には145億ポンドの粗付加価値を生み出し、28万1000人超の雇用を支え、10億ポンド超の税を納めたとしている。商品の3分の2を英国のサプライヤーから調達している点も特徴だ。親会社である独シュヴァルツ・グループは世界31カ国で約1万2600店舗と230超の物流拠点を運営し、グループ全体の従業員数は38万2400人超、2024年度の売上高は1673億ユーロに上る。
リドルGBは5月の発表で、英国の5世帯のうち3世帯以上が同社で買い物をするようになり、英国第5位のスーパーマーケットになったと明らかにしている。
英国の食品小売業界では、大手各社がスマートフォンや専用端末を使ったセルフスキャン型の買い物手段を相次いで導入しており、リドルの今回の取り組みもこうした流れに沿ったものといえる。ディスカウンターであるリドルは、低価格を武器にシェアを拡大してきたが、近年は会員アプリを軸にしたデジタル施策を強化しており、価格以外の利便性でも大手に伍する姿勢を鮮明にしている。



















