英国のディスカウントチェーン、リドルGBは、同社のポイント(リワード)アプリ「リドル・プラス」に統合決済機能「リドル・ペイ」を正式に導入した。スマートフォンを用いた非接触型決済により、チェックアウトの利便性を高めるとともに、顧客体験のデジタル化を一層推進する狙いがある。

 今回の導入は、リドルが進める長期的なテクノロジー投資の一環であり、近年拡大するアプリ会員基盤をさらに活用するものだ。同社によれば、リドル・プラスの月間アクティブユーザー数は2024年7月から2025年7月の1年間で34.9%増加しており、アプリ経由でのクーポン利用やパーソナライズドオファーが顧客ロイヤルティ向上に寄与しているという。

「リドル・ペイ」で支払いと特典利用を一体化

「リドル・ペイ」は、リドル・プラスアプリ内に組み込まれたデジタルウォレット型モバイル決済機能である。ユーザーはスマートフォンひとつで地元のリドル店舗にて安全に支払いができるほか、アプリに保存されたクーポンや割引特典を同時に利用できる。

 会計時にはアプリのバーコードをスキャンするだけで決済が完了し、支払い情報は認定プロバイダーによる高度な暗号化技術で保護されている。これにより、ユーザーはスピーディーで安全、かつシームレスな買い物体験を得られるようになった。

 リドルGBのカスタマーリレーションズディレクター、シャイアム・ウナルケット氏は「リドル・プラスアプリへの決済機能統合は、当社のデジタル進化を象徴する一歩。私たちは顧客の購買体験をよりシンプルかつ柔軟にする技術への投資を継続しており、従来のレジでもセルフレジでも、顧客が自分に合ったスタイルで買い物できるよう支援していく」と述べている。

セルフレジ導入と併せて進む店舗のスマート化

 リドルはここ数年、英国全土でセルフチェックアウトの導入を進めてきた。今回のリドル・ペイ導入はその流れを補完するものであり、顧客は有人レジでもセルフレジでも同じようにアプリ決済を利用できる。

 このようなスマートストア化の推進は、ディスカウント業態が従来持っていた「低価格・低コスト」モデルに、デジタル利便性という新たな価値軸を加える動きといえる。

 英国では、主要小売チェーンが相次いで自社アプリを強化しており、ロイヤルティプログラムや決済機能の一体化が進んでいる。リドルもまた、競合するアルディやテスコに対抗し、顧客データ活用による個別最適化を進める構えを見せている。

 今後はアプリ内での購買履歴管理や、さらなるパーソナライズドプロモーションの強化も見込まれている。テクノロジー主導で顧客との関係深化を図るリドルは、ディスカウント業態の枠を超え、スマートリテール企業への進化を狙っている。