ウォルマート傘下の会員制倉庫型店サムズクラブは、リテールメディアプラットフォームの「メンバー・アクセス・プラットフォーム(MAP)」にて、サイト内、アプリ内、サイト外での「フルファネル動画広告」を開始した。
フルファネルとは、顧客が課題認識から購買に至るまでの態度変容のすべての段階を網羅していること。調査によれば、消費者の66%が、商品について知るために動画を見ることを好むという(ワイゾウル社「2023年動画マーケティング動向レポート」より)。
サムズクラブMAPのレックス・ジョセフス副社長は「会員に動画を配信することで、会員がより長く関心を持ち、(購買)クリック率が向上することがわかっている」と述べる。MAPの新機能により、会員が興味・関心から購入までのどの段階にいても、動画がより魅力的な体験を生み出すことができるという。
会員データに基づく効果的な動画広告
広告主は、コネクテッドTV(CTV、ネットに接続されたTV)広告、スポンサー動画、インタラクティブ動画(視聴者がタップなどのアクションができる仕掛けを盛り込んだ動画)といった各種広告素材を、サムズクラブの会員データと重ね合わせることで、洗練されたターゲティングが可能になる。
販促キャンペーンなどを含め、広告主が各種広告の費用対効果を詳細に分析するためのツールも同時に提供している。新規会員だけでなく退会した会員にもリーチでき、新商品発売の認知度を高め、相乗効果のある動画体験を生み出すことができるという。
たとえばスポンサー動画は、会員がアプリでお気に入りの商品を検索している間に再生され、検索結果ページの検索グリッド内でブランドや商品のストーリーを視覚的に伝えることで、認知度と購買意欲を高める。動画をクリックすると、会員は関連商品のページに誘導され、広告から直接商品をカートに入れることができる。
インタラクティブ動画では、会員が興味を持った商品の仕組みや主な特徴、寸法などを(擬似的に)体験できるという。
会員がストリーミング機器でコンテンツを視聴している場合、関連性の高いMAP CTV広告が表示される。CTV広告費は2024年には米国で300億ドルを超えると予測されており、最も急成長する広告フォーマットの一つとなっている。
サムズクラブMAPのCTV広告は、AIを活用し、視聴率、行動、頻度に基づいてコンバージョン(購入)と広告費用対効果(ROAS)を最適化するように設計されている。
サムズクラブはMAPを2022年に立ち上げ、リテールメディア事業を強化している。