オランダは日本の九州ほどの面積だが、独自性のある小売業が多い。中で国民的小売りチェーンの筆頭に挙げられるのは、HEMA(ヘーマ)だろう。1926年に、高級百貨店と一線を画した「庶民のための百貨店」として、アムステルダムに1号店がオープン。戦後は米国の小売り業態を参考にしながら58年にはいち早くFC制を導入し、60年代に急成長した。現在は国内外に730店以上を展開、約1万7000人の従業員を擁する。

 国民の絶大な支持を得た理由は、オリジナル商品にある。ヘーマは衣料品、文房具、おもちゃ、ベビー用品、ベッドリネンから洗剤までを含む家庭用品のほか、パンやケーキなどの食品も販売しており、それらはすべて独自に開発・デザインした自社製品だ。良質でありながら価格はリーズナブルとあって、バランスが評価されている。また、シンプルでオランダらしい面白さ、かわいさを含むデザインの良さも人気の理由だ。同社は若いデザイナーの育成にも注力しており、80年代からデザインコンテストも実施している。

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