ディスカウントストア、リドルの英国法人、リドルGBが2月7日、英国内で1カ月に9店舗を開業すると発表した。2月中に開店する店舗が大半を占め、これにより数百人規模の新規雇用が見込まれる。キャニング・タウン、プレストン、ウォルソール、ウォームボーンの4地域には新規店舗が出店し、ブランタイア、クームブラン、オールドブルック、ウェルズ、ウェスト・イーリングの5店舗は大規模リニューアルを経て再オープンとなる。

 リドルは2025年の年明け早々にもノーサンプトンで新規店舗をオープンしており、昨年末から続く積極的な拡張路線がさらに加速している。クリスマス前にはボヴィー・トレイシー、ヘメル・ヘムステッド、イプスウィッチなど合計10店舗を新規開店している。

 2024年のクリスマス・シーズンにはおよそ200万人の新規顧客がリドルに足を運び、売上高は前年同期比7%増を記録して初めて10億ポンドを突破した。実店舗型のスーパーマーケットとして「最も成長率の高い企業」だ。

 リドルGBのチーフ・ディベロップメント・オフィサー(CDO)であるリチャード・テイラー氏は、「記録的なクリスマス・シーズンを経て、リドルの高品質とリーズナブルな価格を求める声が一層高まっていることを実感している。これはあくまでも始まりにすぎず、今後も多くの新規出店を計画している」と述べている。

 リドルGBがここまで拡大を続ける背景には、世界的な小売グループである独シュヴァルツ・グループの後ろ盾がある。同グループは32カ国で約1万2360店舗、従業員数は37万5000人を超え、2023年度には1672億ユーロの総売上高を達成した。生産からリサイクル、デジタル化までを包括する独自のエコシステムを構築し、食品小売の柱としてリドルとカウフラントを擁している。こうした強固な基盤が、リドルにおける優れたコストパフォーマンスと拡大戦略を支える土台となっているのだ。

独シュヴァルツ傘下で1990年代に英国進出

 リドルの英国進出は1994年に始まり、現在ではイングランド、スコットランド、ウェールズで970店舗以上を展開し、3万4000人以上の従業員を雇用している。国内に14の物流拠点を置き、徹底した効率化を図る一方で、商品のおよそ3分の2を国内のサプライヤーから調達している。

 同じ英国の小売業界では、セインズベリーが1月下旬に大規模なカフェ閉鎖とリストラを発表している。リドルとは業態の違いがあるものの、小売り全体としてコスト削減や経営効率化が必須課題となる中で、リドルが積極的に出店を拡大する姿は、業界内の構造変化を象徴しているともいえる。