エスビー食品は消費者のライフスタイルの変化・多様化に対応し、同社ならではの強みを生かした秋冬商品を提案する。新商品44アイテム、リフレッシュ品64アイテムの合計108アイテムを投入。発売後1年間の売り上げ目標(小売りベース)は約272億円を掲げている。
世界のメニューを手軽に作れるシーズニングの価値を再構築
主力の香辛料カテゴリーでは「SPICE&HERBシーズニング」シリーズを刷新する。2010年の発売以降、世界のメニューが手軽に作れる特別感、スパイスを揃える手間なく調理できる簡便さが評価され、メニュー用シーズニングの市場拡大を牽引してきた商品だ。ただ時代の変化や、売れ筋メニューの素材である野菜価格の高騰などもあり、その購買傾向にも変化がみられている。
そこで今回のリフレッシュでは主に三つの価値を高めた。まず人気の野菜メニュー「韓国風たたききゅうり」「チョレギサラダ」「ナムル」の3品の味わいに磨きをかけ、絶対的満足度を向上。また、手間や材料費を抑えたいニーズは根強いことから、冷凍食材を活用して手軽に調理できるアイテムには専用のアイコンを付与。鶏肉を使用するメニューの基本レシピには、もも肉の他にむね肉も使えることを併記し、使用頻度の創出を図った。さらに一部メニューでは、煮込み工程の見直しや調理方法を変更することでより簡便ニーズに対応した。
併せて、同シリーズならではの特別感・期待感のある新メニュー4品(冒頭写真)を追加し、ブランドの魅力度を高めた。トルコの人気メニュー「チキンケバブ」はチリパウダー、クミン、オレガノを効かせたケバブソースが肉に絡む、濃厚でスパイシーな味わい。ペルーで愛される魚介の冷菜「ライム香る魚介のマリネ(セビーチェ)」は、冷凍えびで手軽に調理できる。また、同じく需要の高い冷凍フライドポテトを使用し、振りかけるだけでくせになる味付けができる「韓国風チーズポテト」と「ケイジャンポテト」をラインアップに加えた。いずれもスパイスの味わいを生かしたメニューが冷凍素材の活用や簡単レシピで手軽に楽しめる。ポテトメニューの2品は、冷凍食品売り場での展開や、POPを使っての訴求も流通向けに提案する予定だ。
「SPICE&HERBシーズニング」のコンセプトである“手軽に作れる世界のメニュー”のバリエーション拡充により、ブランド価値のさらなる向上を図る。
素材本来のおいしさを追求した「本生」シリーズ
香辛料カテゴリーでは、ねりスパイス「本生」シリーズもリフレッシュする。1987年に日本で初めて本わさびを使用したチューブ入り香辛料として発売された「本生」シリーズは、本物のおいしさ・香りを追求した品質により、ロングセラーブランドとしての地位を確立している。物価の高まりを受け、安心感のあるブランドや品質への期待が高まる中、さらなるユーザー満足度の向上を図る。
今回のリフレッシュでは、口に入れた際の香り立ちの速さと香りの強さを高めた。「本わさび」はみずみずしい香りとわさび本来の辛みを、「本からし」は食塩を低減することでからし本来の風味や辛みを表現した。「生しょうが」「生にんにく」は生鮮の素材に近いフレッシュな香りを向上させ、「柚子こしょう」は柚子果皮のサイズをアップし、果皮・果肉感の香りを強めたことで、より爽やかな風味を楽しめる。
パッケージで表現する内容も一新し、新たなブランドコピーとして「香りを、味わう」を訴求。またインバウンド需要にも対応し、シリーズのこだわりを英文でも記載した。パッケージ下部にはアレンジレシピのほか、ブランドサイトに誘導する二次元コードも掲載。サイトはリフレッシュに合わせ9月に更新し、ブランドの魅力発信を強化する。
「本生」は本物のおいしさを追求し続ける高級チューブ入り香辛料として、提供価値を深化させ、利用シーンを広げていく考えだ。

ブランドの魅力を総合的に高めた栗原はるみシリーズ
ルウカレー・シチューなどの即席カテゴリーでは、料理家・栗原はるみとの共同開発シリーズをリフレッシュし、新商品を投入する。同シリーズは、栗原はるみならではの味づくりと、スパイスの香りや素材のコクが際立つエスビー食品独自の「パウダールウ製法」を掛け合わせることで、市場で独自のポジションを築いている。
今回、ラインアップに「デミグラスシチュー」を追加する。栗原はるみ手作りのデミグラスソースを参考に、ビーフとチキンのブイヨンにバターを加えたまろやかでコクのある味わいが特徴。牛肉はもちろん、豚肉や鶏肉などとも相性がよく、「特別な日だけでなく、いつもの食卓で楽しんでほしい」という栗原氏の思いを反映した万能なシチューに仕上がった。
併せて、既存品のうち2品は味わいをリフレッシュ。「わたしのカレー」はブイヨン、バター、スパイスを増量し、より厚みのある味わいに。煮込んだ甘みとフレッシュな酸味のバランスを大切にした、大人も満足できる「トマトのハヤシ」はトマトの旨みをさらに引き立てている。
また、同シリーズは少人数世帯の利用意向が高いことから、従来の4皿分×2袋の仕様を、2皿分×4袋に変更。少量からの調理をしやすくしたほか、商品の内袋に栗原はるみおすすめのアレンジレシピを掲載し、フレキシブルな活用を促す。味わいや使い勝手など、ブランドの魅力を総合的に高めることで市場の底上げにつなげていく。

名店の人気メニューを再現し、高価格帯パスタソース市場を活性化
物価高の影響もあり、レトルトパスタソース市場が前年を下回る傾向にある中、高価格帯パスタソースには価格に見合った特別感や贅沢感を感じられるメニューが求められている。
こうしたニーズに着目し、「予約でいっぱいの店 THE PREMIUM」シリーズから新発売するのが「うにのクリームソース」だ。落合務シェフがオーナーを務める銀座の名店「ラ・ベットラ」のNo.1メニュー※を再現し、トマトソースをベースに、ミョウバン不使用によるうに本来の甘みと、北海道産生クリームを使った濃厚なコクが楽しめる。
※2025年2月時点(エスビー食品調べ)
同シリーズでは4月~6月に消費者キャンペーンを実施しており、その第2弾を10月以降にも予定。また需要期にあたる11月にはテレビCMも放映し、ブランドの定着を進めていく計画だ。名店の不動の人気メニューを再現した魅力的な商品を投入することで市場の活性化を目指す。

エスビー食品は複雑に移ろう消費者の意識やライフスタイルの変化に対応。多様なラインアップと充実のメニュー提案で内食市場の拡大に貢献していく。