米百貨店チェーンのノードストロームが12月23日、創業家であるノードストロームの一族とメキシコの小売り大手リバプールによる買収を発表した。ノードストロームは非公開企業となり、ノードストローム一族が株式の50.1%、リバプールが49.9%を保有する。
買収は現金で行われ、企業価値は約62.5億ドル(約9300億円)に達する。ノードストロームの既存株主は1株あたり24.25ドルの現金を受け取ることとなり、これは2024年3月18日時点の終値に対して約42%のプレミアムを反映している。さらに、取引完了時には1株あたり最大0.25ドルの特別配当金も支払われる予定。
取引資金は、ノードストローム一族とリバプールによる株式持ち分のロールオーバー、リバプールによる現金出資、新規ABL(資産担保ローン)銀行融資最大4億5000万ドル、そしてノードストロームの保有現金を組み合わせて調達される予定である。既存の27億ドル相当のシニア債券と社債は取引後も存続する見込みだ。
さらに、ノードストロームは取引完了までの間、1株あたり19セントの定期四半期配当を支払い続ける意向であり、部分的な四半期についても比例配分で配当を支払う予定。取引完了は2025年前半を予定している。
2024年2月からの交渉
今回の取引は、ノードストローム一族からの提案を契機に、2024年2月に設立された特別委員会によって検討が進められてきた。
特別委員会議長のエリック・スプランク氏は、「会社の独立した成長の可能性と今回の提案を比較検討した結果、今回の取引が株主にとって最大の価値を提供するとの結論に至った」と述べている。また、取締役会会長のブラッド・ティルデン氏は、「この取引は株主価値を向上させるための重要なプロセスの成果であり、特別委員会の尽力に感謝している」と評価した。
ノードストロームのエリック・ノードストロームCEO(最高経営責任者)は、「今日という日は、当社にとってエキサイティングな新たな章の幕開けを意味する。家族を代表して、ノードストロームが長期的に繁栄することを確実にするために、当社のチームと共に取り組むことを楽しみにしている」とコメントした。
一方、リバプールのグラシアーノ・F・ギチャード・G会長は、「ノードストロームは百貨店業界をリードする企業であり、今回の提携を大変光栄に思う」と語った。
ノードストロームは1901年に創業し、ノードストローム、ノードストローム・ローカル、ノードストローム・ラックなど350以上の店舗とオンラインプラットフォームを持つ。
リバプールはメキシコを代表するオムニチャネル小売企業であり、メキシコ国内で310の百貨店と119の専門ブティック、さらに29のショッピングセンターを運営している。また、760万以上のクレジットカード保有者を持つメキシコ最大級のクレジットカード発行会社の1つでもあり、売上取引の47%を占めている。従業員は7万8000人以上。