迷走台風に振り回された夏
感染症の流行や国際紛争など、予測できない事態の発生は「不確実性」と呼ばれる。判断に必要な情報が不足するため、手探りでの対応とならざるを得ない。一方で、発生が予測されている状況は「リスク」と呼ばれる。リスクについては、発生可能性が数値化された「確率」が計算され、意思決定をサポートする点で、より的確な対応が可能になるとされている。しかしながら現実には、確率による意思決定には多くの困難があり、どの程度役立つものかは疑問が多い。
とくに自然災害などをはじめ多くの場合、その影響が大きくなる確率は実験室で導きだすことはできず、しかも日々刻々と変化する、不安定なものである。