実質は低調、名目は記録的な伸び率を記録
総務省が発表した家計調査によると、2人以上の世帯の2023年4月の消費支出(除く住居等)は、「名目」で前年同月比1.9%増、「実質」では2.1%減となった。また22年度の月平均消費支出は、「名目」では4.5%増となり、比較可能な01年以降で最大伸び率となった。「実質」でも前年度比0.7%増と2年連続プラスを記録した。消費は、「名目」ですでにコロナ感染拡大前の水準を大きく上回って推移しており、19年9月の消費税率10%への引き上げ前の駆け込み需要に匹敵する水準に達している。一方の「実質」は、感染拡大前の水準にもいまだ達していない。
20年以上もの間、国内では物価が大きく変動しない環境が続いていたため、名目と実質の違いをそれほど意識する必要がなかった。しかし現在は、各指標の名目と実質の動向から全く異なる印象を受ける。