フランス最大手のカルフールが同業ルイ・デレーズ傘下のスーパー、「コーラ」と「マッチ」を買収した。両社でフランス国内シェア約2.4%と大きくはないが、店舗がフランス北東部に集中しており、カルフールにとっては手薄な地域だった。地理的な補完により大きなシナジーをもくろんでいる。

 ハイパーマーケットのコーラ60店舗(平均店舗面積9600㎡)とスーパーのマッチ115店舗(同1600㎡)が対象で、コーラ55店とマッチ77店の不動産所有を含めた事業価値は10億5000万ユーロと試算されている。フランス当局も、この買収による競争上の問題は限定的だとして最終認可を与えた。

 コーラのハイパーマーケットは2024年末までにカルフールブランドに転換する予定で、地元認知度の高いマッチのブランドは残す。今年9月からカルフールのプライベートブランド商品が、コーラ、マッチの両グループで販売される。

 統合のシナジー効果は、2027年までにEBITDA(税引前利益+支払利息+減価償却費)への追加寄与が1億3000万ユーロに達する(従来は1億1000万ユーロ)。カルフールブランド商品の導入、オムニチャネルの開発、金融および加盟店サービスの展開といった攻めの戦略に加え、直接・間接仕入の増加やマーケティング・広告費用の相互化によるコスト効率化といった守りの戦略も見込まれている。

 統合コストは2億5000万ユーロ(従来は2億ユーロ)と見積もられている。内訳は、1億5000万ユーロの営業費用と1億ユーロの投資(設備投資)だ。

 カルフールグループの会長兼CEOであるアレクサンドル・ボンパール氏は、「コーラはカルフールグループで初めての業態で、国内市場における食品流通のリーダーとしての地位を確固たるものにする。コーラとマッチはカルフールに高品質で収益性の高い資産をもたらす一方で、カルフールの強力なブランド・エクイティの恩恵を受けることになる」と語っている。

 ルイ・デレーズグループとカルフールの関わりは古く、1969年に初のフランチャイズ契約を締結している。2014年から22年まで共同購買提携関係にあった。また、23年にはルーマニアのコーラ社(ハイパーマーケット10店舗とコンビニエンスストア8店舗)を買収している。

 今回の買収でカルフールのフランス国内シェアは22%に上昇し、トップの地位を強固なものとする。