10年後には20~30代となり、経済活動の主役へと躍り出る「Z世代」。本連載では、Z世代にホットなモノ・コトにフォーカスし、展開する企業の戦略や、なぜZ世代に刺さっているのかを調査。若者から広がる“ニュートレンド”が、今後の“ニュースタンダード”になり得る可能性を探ってきた。最終回に取り上げるのは、日本最大のティーンズイベントの運営をはじめ、Z世代の心に訴えるマーケティングで実績を上げる超十代だ。2000年代初頭から多くの若者向けイベントを手掛けてきた平藤真治代表に、10代が持つポテンシャルと、彼らの攻略法について聞いた。(「ターゲットZ」の過去回はこちら)
10代の、10代による、10代のためのフェス開催
「今日は日本中の10代が一つになる日。私たちと一緒に新しい時代を作りましょう。せーの――『超十代』、スタート!」
3月28日、渋谷ヒカリエホールに詰めかけたティーンズが揃って唱和し、あるイベントが幕を開けた。10代向けの企画・マーケティングを手掛ける超十代が主催する、その名も「超十代 -ULTRA TEENS FES-」だ。同フェスはモデル、YouTuber、TikToker、アーティスト、スポーツ選手などあらゆるジャンルの10代をアンバサダーに迎え、彼らの「やってみたい!」を実現しながら、来場者と特別な1日を作り上げるというもの。いわば10代の、10代による、10代のためのお祭りだ。
「開会宣言」を務めたのは、人気Youtuberのさくら、星乃夢奈、モデルのみとゆななど、若年層から絶大な支持を得るインフルエンサーらだ。その後も各分野で活躍する10代が代わる代わるステージに登場。ファッションショーや音楽ライブ、スタイリングショー、さらには企業とコラボしたスペシャル企画など、様々なパフォーマンスで会場を沸かせた。
「毎年来てるけど今年もめちゃくちゃ楽しかった!」
「推しに元気をもらえて最高!」
観客も一体となって盛り上がり、リアルの参加者はもちろん、オンラインの視聴者も揃って興奮を共有。長尺の催しながら、公演中、10代のフレッシュなエネルギーが途切れることは一切なかった。
まさに今のZ世代の勢いを象徴していると言える超十代フェスだが、同フェスがここ最近立ち上がった真新しい取り組みかと言えば、実はそうではない。開催は今年で既に9回目。記念すべき第1回が行われたのは、「Z世代」という言葉がまだ一般的でなかった2016年のことだった。
「当時はまだ、大手の代理店も、マーケターも、次世代のティーンが持つ可能性・重要性に気づいていなかった。しかし僕たちは、この世代から新しい価値観が生まれ、近々パラダイムシフトが起こることを確信していた」。超十代を立ち上げ、10代にスポットを当てたフェスを企画した仕掛け人、平藤真治代表は当時をこう振り返る。