揺り戻しを越え突き放す売却となった

「揺り戻しがあるとは思っていましたが、まさか、突き放してしまうとは。西友さんもドラスティックなことをしますね」。九州の地場スーパーの幹部が4月上旬にこんな感想を述べた。西友ホールディングス(HD)傘下のスーパー、西友が九州地区の全店舗(69店)を中国、九州が地盤のイズミに売却すると発表したニュースについての感想だった。売却額は非公表だが1店舗当たりの価値は1億円にはなるはずで、銀行筋からは「70億円前後になるだろう。イズミは上場企業なので売却が完了する2024年8月中間期の決算発表ではその額がおぼろげながら分かるでしょう」という声が聞かれる。

 冒頭にある「揺り戻し」とは、西友の仕入れ体制の変更のことで、東京本部でほぼ一本化していた体制を地域の実情に合わせて九州に戻すことを意味する。西友が九州で運営するスーパーの「サニー」はもともと百貨店の岩田屋グループだったが、2001年に岩田屋の業績不振の対策として西友に38億円(当時は75店)で売却された。西友はサニーの自主性を重んじて屋号の「サニー」を残し、調達機能も九州のままにした。ところが今度は西友が危機的な経営状況に陥り、ウォルマートの出資を仰いだことで状況が変わった。

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