東急不動産は4月17日、東京・原宿に「東急プラザ原宿 『ハラカド』」をオープンする。

 ハラカドは、東京地下鉄と共同で進める原宿・神宮前エリアにおける再開発事業の一つで、東京メトロ明治神宮前駅から徒歩1分、表参道と明治通りが交差する神宮前交差点に立地する。

 原宿・神宮前エリアは1960年代以降、多くのカメラマンやデザイナーが事務所を構えた「原宿セントラルアパート」を象徴に、その時代のカルチャーを創造する場として栄えてきた。それが昨今、SNSの定着から誰もがクリエイティブな活動ができる時代へと進化。来街者は「購買だけでなく体験や共感も求めている」と分析、「新たな原宿カルチャーの創造・体験の場」をコンセプトにハラカドを開発した。9日に開かれた記者会見でも、都市事業ユニット渋谷事業本部の黒川泰康宏執行役員本部長は、「商業ではなく『創造施設』を目指す」ことを強調した。

会見に登壇した都市事業ユニット渋谷事業本部の黒川泰康宏執行役員本部長

 ハラカドは、地下1階〜地上7階建て。地下1〜2階の「物販・サービス」、3〜4階の「体験」、5〜6階の「飲食」の三部構成で、日本初や東京初、リアル店舗初、新業態と、トレンド発信の場に相応しい75のテナントを揃えた。

 地下1〜2階の「物販・サービス」の目玉は、地下1階に入居する、東京・高円寺の老舗銭湯「小杉湯原宿」だ。流行の街に初出店だが「今トレンドのサウナは入れずあくまでも日常に溶け込む銭湯」(小杉湯の関根江里子副社長)。1階は原材料から製造までこだわったクラフトチョコレートを販売する「rit. TOKYO」が広島から初進出するほか、カンロの東京2号店「ヒトツブカンロ」も出店する。2階はこれまでECを中心に展開していたブランド「Glam Lips」(アパレル)「SEPLÚMO」(エシカルショップ)「THREE TREASURES」(セレクトショップ)などがリアル店舗を初出店。このほか、化粧品とカフェが融合したブランド「YUBUNE」や、セクシャルウェルネス商品を手掛けるTENGAのコンセプトストアが旗艦店としてオープンする。 また、表参道と明治通りに面した区画には、英国発の「ジョー マローンロンドン」が世界最大規模の旗艦店を出店。秋には「ディオール」もオープンする予定だ。

東京・高円寺の老舗銭湯「小杉湯原宿」 が地下一階に出店

 「文喫」を手掛けるひらくが、雑誌アーカイブライブラリー「COVER」をプロデュース

 3〜4階の中間フロアでは、施設コンセプトである「原宿カルチャーの創造・体験」の取り組みを行う。 3階の「クリエイターズプラットフォーム」では、トップクリエイターが様々な企業や人と出会い、新事業を模索する環境を提供する。夜は音楽も楽しめるという会員制ラウンジ「BABY THE COFFEE BREW CLUB」をはじめ、ショート動画の撮影や編集・配信を行える博報堂ケトルの「STEAM STUDIO」、ラジオ局J-WAVEスタジオ「J-WAVE ARRTSIDE CAST」など17店舗が集結。お客はここに駐在するプロのクリエイターの話を聞き、創作のヒントを得られる。4階では、多様な来街者に向けた国籍・性別・年齢を問わないボーダレスな体験の場を目指す。第一弾としてはフロア全体を 「ハラッパ」と位置づけ、「自然・チルアウト」×「原宿で体験」 をコンセプトにした企画を行う。今後もクリエイターが作り上げた空間やアートが身近に体験できる場とする。

ハラカドの核となる 「BABY THE COFFEE BREW CLUB」はクリエイターたちの交流の場

ラジオ局J-WAVEスタジオ「J-WAVE ARRTSIDE CAST」

4階は多様な来街者に向けた国籍・性別・年齢を問わないボーダレスな体験の場を目指す

 5〜7階の飲食店・屋上テラス「HARAJUKU KITCHEN&TERRACE」(約860坪・全23店舗)では、営業時間を11〜23時とし、ランチ需要はもちろん、夜の食事需要にも対応する。5階は、日常使いができる飲食店のほか、隠れ家的雰囲気の居酒屋など、個性的かつ多様性のある店を集積した。日常向けでは、ファミリーレストラン「FAMiRES」、原宿の老舗町中華「紫金飯店」、ラーメン「一風堂」など。個性派向けには、吉祥寺のハモニカ横丁を手掛けるビデオインフォメーションセンターが立ち飲み「トーキングゴリラ」を出店した。6階は、″たまり場„をイメージし、ドリンクのテイクアウトやシェアができる料理を提供、人々の交流をサポートする。店主自ら狩猟した食材を使ったカレーやジビエのコースが話題の「beet eat」が初出店するほか、イタリアンジェラートやアボカドを使ったメキシカングリルなど国際色豊かなメニューも提供する。そして最上階、7階屋上テラスは6階からシームレスに接続が可能。神宮前交差点が見下ろせる開放スペースとなっている。

 東急不動産は、これら個性豊かな75のテナントとともに、文化拠点「原宿」で物販に頼らない新たな商業施設の在り方を提案する。

立ち飲み「トーキングゴリラ」

映画「ローマの休日」で有名な イタリアンジェラート 「ジョリッティ」

ドリンク片手にたまり場として活用

屋上テラスは飲食店のポップアップスペースとしても活用する