イオンモールは3月28日、マンション開発を得意とする不動産事業会社マリモホールディングス(HD)の子会社マリモと資本業務提携を結んだと発表した。
27日にイオンモールがマリモHDからマリモ株30%を譲り受けた。金額は非公表。これにより、マリモとその子会社計4社がイオンモールの持分法適用子会社となる。
マリモHDは広島に本社を構える不動産総合デベロッパー企業。分譲マンションや収益不動産の開発販売を手掛け、全国44都道府県に452棟、2万9355戸の分譲マンションの開発実績を持つ。イオンモールは住環境の開発に強みを持つマリモとの提携で、既存の商業施設の枠を超えたボーダレスな複合施設の開発を目指す。
まずは日本国内における不動産事業を当面の業務提携範囲とし、物件の共同開発に関する検討体制の構築、情報共有、人的交流などを行う。具体的には、商業やオフィス、学校、医療などが有機的につながる多機能複合型大規模開発の推進、市街地再開発の推進、店舗や住居などの機能の複合開発による市街地の活性化、イオンモールの既存商業施設の敷地や隣接をマリモのプロデュース力で活用する資産利用の高度化、「マリモ地方創生リート」へのパイプライン強化による地方への投資促進を掲げる。
イオンモールの岩村康次社長は、これまでも多機能商業施設を標榜して開発してきたものの「商業施設とマンションが別々になってしまう」「(出資関係のない)パートナーシップの取り組みでは、どうしても間に線が引かれてしまい、ジレンマを感じていた」と明かした。
その上で岩村社長は、マリモとの提携により、一歩踏み込んだ機能連携が可能になることに期待を寄せる。「マーケットを見て地域の細かい課題に目を向けて機能を投下していきたい。1年以内には具体的な物件の発表ができるかもしれない」と展望を語った。
またマリモHDの深川真社長は「マリモは1970年の設立から単独資本を守り抜いてきた。しかしながら急激な人口減少社会を迎え、これからも力強く生き残っていくことを考え、2年前から提携先を模索していた」と明かした上で、「イオンモールが計画している案件の中に、住宅機能を入れられるものはぜひ一緒にやっていきたい」と抱負を述べた。
(左からイオンモールの岩村康次社長とマリモHDの深川真社長)