イオンモールは5月28日、1カ月半ぶりに全店での営業を再開した。政府が発令した新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言を受け、4月8日から7都府県で、4月18日からは全国142モールで専門店ゾーンを臨時休業していた(GMSゾーンは営業を継続)。緊急事態宣言の解除後、5月13日から19県42モールの営業を再開。5月28日の首都圏(1都3県)をもって、全店での営業再開に至った。

 イオンモールでは営業再開に当たり、新型コロナウイルスの感染防止策を講じている。従業員や来店客に対して手指消毒や、AIの顔認識技術と赤外線カメラを組み合わせたシステムによる検温を実施。営業時間中は全出入口を常時開放し、換気システムを最大限稼働させるほか、大型サーキュレーターを使用し換気を強化している。接客面ではレジやカウンターにアクリル板やビニールカーテンを設置し、飛沫感染防止を図る。イオンモール幕張新都心(千葉市)のフードコートでは客席1500席のうち約半分の使用を中止するほか、館内にあるソファーなども間引くことでソーシャルディスタンスを維持するようにしている。

 混雑回避策としては、入館管理システムにより、館内にいるお客の数を管理し、混雑度に応じて注意を促したり、入場制限を実施したりする仕組みを導入した。デジタル活用では、イオンモール公式アプリに現在地から目的の店舗までの最短ルートをエスカレーターやエレベーターも含めて表示できる館内ルート案内機能をリニューアルで追加した。イオンモール幕張新都心の小林純1ゼネラルマネージャーは、「3密を避けて安心安全の対策を万全にした上で、お客様の来店頻度を上げていきたい」と力を込める。

 このほか、イオンモールの営業再開に合わせて、イオンリテールでは千葉県産品の拡販を県内33店舗で実施。例年6月に実施していたフェアを5月にも行うことで昨年比2倍の販売目標を掲げた。取扱品目は白子町の玉ねぎなど農産、畜産、水産に加え、加工食品や日配品など最大282品目。また新型コロナウイルスの影響で出荷先を失った給食や外食向け産品も販売し、生産者支援につなげる考えだ。

 緊急事態宣言は全面解除となったものの、感染者が再び増加する「第2波」の兆しもあり、依然として収束が見通せない。そんな中、イオンモールではお客と従業員の安全確保を最優先にしながらも、本格的な再開に向けて少しずつ動き始めている。

(冒頭写真:イオンモールではAIの顔認識技術と赤外線カメラを活用した検温システムを出入り口に設置した)

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