PBはNBの模倣。「ベンチマーク」という言葉がそれをよく示している。NBをベンチマークに同じ品質で、パッケージや包装に工夫を凝らし、コストを引き下げ安く売ることでお客の支持を集めてきた。だが土谷社長のMZ世代研究の商品開発は「NBの模倣」とは違う。まさにゼロからの開発。わからない、知らないことは胸襟を開いて素直に聞き、それを嚙み砕いて商品開発に昇華する。付加価値商品開発の王道を歩いている。(インタビュアー・栗田晴彦)

令和でなく平成と言われやり直した

 ――「トップバリュ」のイメージが大きく変わりつつあります。何しろ遊び感覚溢れる飲料だのおやつだのが、次々登場していますから。

 土谷 私は22年3月にイオントップバリュの社長に就任したんですが、着任した時、トップバリュを買われているのは50代以上がほとんどだった。特に10~30代のMZ世代は全く取れていなくて、これはまずいなと大きな危機感を持ちました。それだとこの先、伸びしろがないじゃないですか。若い世代って人数が少なくても、消費に与える影響は大きいんですよね。新しい食べ物やファッションは、やはり若い世代から始まって上の世代に広がっていきますから。それでまずはこの世代を徹底的に研究して、一度そこに思いっ切り振ったものを作ろうと思ったんですね。

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