小林製薬青い鳥財団は12月1日、23年度助成先および顕彰先への贈呈式を第一ホテル東京(東京都港区)で開催した。
小林製薬が運営する本財団は、 創立100期を迎えた2017年5月に設立。障がいや病気に悩む子どもたちとその家族、さらに調査研究をしている個人や団体を支援するもの。
冒頭の挨拶に立った小林製薬青い鳥財団の小林章浩理事長(小林製薬社長)は「当財団は、小林製薬の発行株式総数の1%を譲渡し、その配当金を原資に活動してきました。小林製薬でも社会貢献活動をしてきましたが、それを財団の形にすることでより安定的、専門的な活動にすることができました。解決されていない社会課題に取り組む研究者や団体を支援し、スポットライトが当たることでお子さんとご家族にとっての『あったらいいな』を実現していきます」と力を込めた。
第7期を迎えた23年度も6月6日から7月31日の期間で公募を行い、選考委員会における厳正な審査の結果、計23件(総額5000万円)の助成先・顕彰先を決定した。
助成先は、障がいや病気に悩む子どもたちとその家族が抱えている様々な医療・福祉上の支援活動および、調査研究で日本国内において行われるものが対象。今回は支援活動17件、調査研究4件が選ばれ、支援活動には1件あたり100万〜500万円程度、調査研究には1件あたり100万円程度がそれぞれ贈られた。
顕彰の「小林製薬青い鳥財団賞」は、障がいや病気を抱える子どもたちとその家族が抱えている様々な医療・福祉上の支援活動及び調査研究において、著しい成果を収めた個人または法人が対象。23年度は、60年近くにわたり療育活動を行ってきた一型糖尿病患者と家族の会の「つぼみの会」など2件が選ばれ、記念品と副賞(300万円)が贈られた。
贈呈式の最後、青い鳥財団賞を受賞したつぼみの会・神嶋威代表は「これからも財団賞を励みに子どもたちが自立した社会人になれますよう一層活動に精進してまいる所存です」と語った。
小林製薬青い鳥財団の贈呈式の様子(写真左が小林章浩理事長)
・支援活動
名称 | 所在地 | 主題 |
特定非営利活動法人ぷくぷくばるーん(代表者:加藤剛二) | 愛知県 | 旅する人形プロジェクト~人形がゆく! 小児病棟の子どもたちの夢の旅 |
一般社団法人チャーミングケア(代表者:石嶋瑞穂) | 大阪府 | チャーミングケアラボにてスペシャル キッズと家族のケアについて発信 |
特定非営利活動法人つなぐプロジェクト(代表者:奥村佳子) | 岐阜県 | 地域連携による特別な配慮を要する児をもつ母親への育児支援事業 |
認定特定非営利活動法人ラ・ファミリエ (代表者:檜垣高史) |
愛媛県 | 病気により入院・療育している子どもたちに学習の機会を届ける支援者育成事業 |
国立大学病院広島大学病院(代表者:工藤美樹) | 広島県 | 小児がん長期入院患者のための VR ゲーム作りプロジェクト |
特定非営利活動法人バリアフリーセンター福祉ネットナナの家(代表者:皆河える子) | 東京都 | ポニーと子どもたちのフォトブック& 解説ノート、シンポジウム |
パタカラプラス開発研究会(代表者:三嶋博之) | 長崎県 | 先天性の障がいを持つ方々への運動機能のための 遠隔トレーニング評価環境の実現 |
特定非営利活動法人幸せつむぎ(代表者:安井朝子) | 愛知県 | つむぎの展「Wa」~重症心身障がい児・医療的ケア児が創りだすアール・ブリュット展~ |
一般財団法人重い病気を持つ子どもと 家族を支える財団(代表者:細谷亮太) |
東京都 | 難病の子や重度障がいの子もリモート参加できるユニバーサル野球大会の開催とYouTube ライブ配信 |
NICO(代表者:若井万友美) | 神奈川県 | 長期入院中の子ども・障がいを抱えた子どもとご家族のための【デジタル学習教材】 |
特定非営利活動法人移植を受けた子どもと家族の会(代表者:南田康一) | 大阪府 | 第 12 回臓器移植を受けた子ども達の サマーキャンプ |
特定非営利活動法人フローレンス(代表者:赤坂綠) | 東京都 | 「重度障がい児の甲子園」を e スポーツで実践!「新しいパラリンピック」の創造へ |
特定非営利活動法人タンデム自転車 NON ちゃん倶楽部(代表者:津賀薫) |
愛媛県 | 自然豊かな辺境四国から「心が震える先には金色の道がある」プロジェクト |
特定非営利活動法人ドリームエナジー プロジェクト(代表者:内海智子) |
神奈川県 | 障がいや病気による言葉の壁を取払い、彼らの豊かで個性溢れる心の世界を発見・共有 |
一般社団法人医療的ケア児等 コーディネーター支援協会(代表者:遠山裕湖) |
千葉県 | 障がいのある人々の排泄の快適さと持続可能な社会の実現を目指した人材の育 |
一般社団法人スペシャルキッズサポート 振興協会(代表者:大舩一美) |
大阪府 | スペシャルキッズ・サポーター基礎養成研修の構築 |
認定特定非営利活動法人ゆいの会(代表者:下村一美) | 愛知県 | 病気や障がいのある子どものきょうだい児の居場所 |
・調査研究
名称 | 所在地 | 主題 |
松岡 美智子 久留米大学精神科 医師 | 福岡県 | 精神疾患患者を親に持つ子どもを対象とした心理教育動画の作成と効果検証 |
小原 隆史 岡山大学学術研究院歯薬学域 助教 | 岡山県 | 重症小児救急患者の救急集中治療の現状と遠隔期アウトカムに関する追跡調査 |
澤田 なおみ 東京大学大学院医学系研究科 医療コミュニケーション学 分野 博士課程※社会人(国立成育医療研究 センター勤務中) | 東京都 | 日本の小児喘息診療における Family ー Centered Care とその関連因子 |
渡邉 孝継 星美学園短期大学幼児保育 准教授 | 東京都 | 自閉スペクトラム症児の対人コミュニ ケーション促進による対人ストレス緩和効果の検証 |
【2022年度 顕彰先一覧(小林製薬青い鳥財団賞)】
名称 | 所在地 | 主題 |
つぼみの会(代表者:神嶋威) | 東京都 | つぼみの会(一型糖尿病患者と家族の会)が 60 年近くに亘り行ってきた療育活動 |
特定非営利活動法人こどもコミュニティケア(代表者:末長美紀子) | 兵庫県 | みんな一緒に大きくなろう!医療的ケア児や発達障がい児もともに育ち合う共生保育の実施 |