ミャンマーのネット通販は、フェイスブック(FB)をプラットフォームとするのが一般的だ。これを言うと、たいていの日本人に驚かれる。このような通販の独自な発展には、いびつな形でのインターネットの普及が大きく影響している。

 2011年に前々政権が民主化を進めるまで、ミャンマーは経済的な鎖国状態が長く続いた。この間、IT技術やインターネットの発展において世界から取り残され、国民のほとんどがパソコンはおろか、電話に至っては携帯電話どころか固定電話さえ持たない有様だった。しかし14年に通信事業が自由化されると状況は一変。ほんの2、3年の間に国の隅々までスマホが普及した。このいびつな発展の仕方がミャンマーにもたらしたIT環境の特徴は、①ほとんどの人がメールアドレスを持たず、メッセンジャーのようなチャットアプリでコミュニケーションを図る、②企業は公式ウェブサイトを持っておらず、ウェブデザイナーという職種も育っていない、という2点が挙げられる。結果的にスマホを持つほぼ全ての人がFBアカウントを持つことになり、企業も安価で手軽に写真や情報をアップできるFBを公式サイトとして利用。ついにはミャンマーで「検索」といえば検索サイトではなく、FBの検索機能を指すまでになった。

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