お米がこれほど食べられなくなったことに些かショックを受けた。戦後西洋の食文化の影響で食事が多様化。マクドナルドが銀座に1号店を出店。ハンバーガーが旨いと評判になった記憶もある。が、この間お米の消費量は減少の一途を辿り、日本の稲作農業は崩壊の危機を迎えている。米卸からスタートした神明ホールディングスが、川上、川中、川下に事業を広げ、日本の農業を支えようという気概には感銘を受ける。(インタビュアー・栗田晴彦)

高齢農家大量離農が現実味を帯びる

 ――食品の値上げが相次ぐ中で、米は逆に相場安が続いています。

 藤尾 米の値段は大体秋の収穫期に決まるんですが、実はコロナ禍で米の消費量が激減しました。外食やホテルの宴会、弁当・おにぎりの需要が落ち込み、令和2年産米がものすごく残ってしまった。そのため令和3年産米の値段が暴落したんです。

 ――外食は減っても家での食事は増えました。それでも米の消費量は減ったのですか。

 藤尾 食品ロスの観点からは良くないことですが、外食やホテルの宴会では食べ残しがかなりあって、これも消費です。でも家庭ではそれがないので、消費量はやはり減ってしまうんですね。ただ今年3月から外食も中食も需要が急に伸び始めて、今もそれが続いています。また農家も肥料、農薬などが軒並み上がり、我々も精米工場の諸経費、包材、輸送費がすべて上がっていますのでね。令和4年産米の値段は結構上がると思います。

この記事の購読は有料購読会員に限定されています。
まだ会員登録がお済みでない方はこちらから登録ください。
有料購読申込

すでに会員の方はこちらから