米卸最大手の神明ホールディングス(HD)は9月9日、米作を中心とする農業生産法人2社に出資したと発表した。神明HDと日本政策金融公庫が共同出資する、あかふじファームイノベーション投資事業有限責任組合(あかふじファームファンド)が9月2日、青森県黒石市の「アグリーンハート」と宮城県栗原市の「川口グリーンセンター」に3000万円ずつ出資した。
アグリーンハートは、平地では低コストで大量生産、中山間地では高付加価値生産型(自然栽培米)と、土地に合わせた対象的な事業モデルに取り組む農業法人だ。新技術も積極的に活用しており、ドローンを飛ばして田んぼを空撮し、雑草の種類や生え具合をAIが解析。必要な量だけ農薬を散布することで、散布量を従来比で5~9割減につなげるなどの成果を上げている。また田んぼに直接種を播く直播きの技術を向上させることで、稲作で時間の掛かる「育苗」作業をなくし、負荷軽減につなげている。
高付加価値型では、黒石市の休耕地を活用し、再現性の高い有機のBLOF(バイオロジカルファーミング)理論を実践した有機農産物を作付けしている。アグリーンハートの佐藤拓郎代表は「耕地面積の拡大には土を作るための人づくりが必要。時代の変化に対応できる人材が育つ環境を整えていきたい」と語る。