「サンクゼールの丘」のレストラン窓外に広がる風景は素晴らしい。物見遊山ではないのは承知でつい取材の手を止め景色を眺めてしまう。「田舎の豊かさ・心地よさ」を提供するサンクゼールの事業は極めてユニークだ。生産者とお客を独自のビジネスモデルでつないでいる。しかもそれが一次産業の支援、活性化にもなっている。その生産者の支持を得ているのは、「本物の職人」のもの作りの情熱へのリスペクトだろう。それが信頼を勝ち取る要因でもあるようだ。(インタビュアー・栗田晴彦)
作り手と買い手の空白を埋めた業態
――和食グルメのセレクトショップ「久世福商店」が絶好調です。SCからの出店要請も絶えないと聞いています。
久世 2013年に展開を始めて店舗数は現在136店になったんですが、ここへ来てお客様のご利用が大幅に増えています。コロナの直後はやはり打撃を受けたんですが、昨年度(22年3月期)は既存店売上高が前年比123%。一昨年の休業の反動を含まない6月以降でも115%で伸びて、今期も112%のプラスで推移しているんです。
――そんなに伸びているのですか。
久世 外食を控える中で、食卓の質を高めたい方が増えている。その中で新規のお客様やもう一品多く買ってくださるお客様が増えているのは、久世福に対する信頼とか期待が醸成されてきたからで、それがこの数字に表れているのかなという風に思っています。