エア・ウォーターは、産業ガス製造を祖業に、多彩な事業を展開している。ユニークなのはM&Aによって、事業規模を拡大してきたことだろう。それはある意味寄り合い所帯。お互いがそれぞれの本業を頑張り、同じ色には染めない。コロナを機に農業・食品カンパニーはそれを転換。一本化することで家庭用市場開拓に本腰を入れる。(インタビュアー・栗田晴彦)

コロナ再編で事業領域が一気に拡大

 ――昨年10月、農業・食品事業の多様な子会社を再編しました。

 鹿嶋 おっしゃる通り当社は農業・食品関連の会社が現在18社あるんですが、再編前はもっとありました。ただその中で我々が創業したのは、最初の1社だけ。後は全部、M&Aでグループに入っていただいたんです。

 ――つまりM&Aで取得した会社が約20社を数えるのですか。

 鹿嶋 当社の食品事業は、もともとはコア事業の産業ガス製造の技術を応用したのが始まりです。北海道の新鮮な農水産物を液化窒素で瞬間冷凍させて、ホテルや外食に販売したんですね。その冷凍食品で培ったノウハウをもっと生かそうと、2000年代以降、M&Aを積極的にやってきたわけです。雪印食品のハム・ソーセージの北海道工場を譲り受けて春雪さぶーるをスタートさせたのを皮切りに、相模ハム、大山ハム、また北海道のトマト農場を取得して農業に進出したのを機に、青果卸、青果専門店、さらには果実・野菜飲料、スイーツ、冷凍調理品の製造会社などが次々入ってこられて。その結果、非常に多岐にわたる事業を展開するようになったんです。

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