日本パレット協会は5月31日、記者会見を開催した。冒頭挨拶した加納尚美会長(冒頭写真、日本パレットレンタル社長)は、荷役の自動化やデジタル技術活用による情報共有でパレットの一貫利用が前提となっていることを指摘したうえで「パレットの普及と標準化の重要性が浸透している。パレットの標準化を推進するとともにパレットと社会をつなぐ役割を担っていきたい」と意欲を示した。
その具体例として、日本パレット協会は官民物流標準化懇談会の下で発足したパレット標準化推進分科会に参加しているほか、長年パレット自主規格制定の審議団体を務めてきた。だが、パレット標準化は韓国が50%、ヨーロッパが90%であるのに対し、日本は34%と遅れているのが実態だ。日本パレット協会はパレット業界を取り巻く課題に対応しながら、認知度向上や普及拡大に努める。
国際物流では、加納会長は日本のほか、中国、韓国など10カ国が加盟するアジアパレットシステム連盟(APSF)の会長に就任。11型と12型パレットを共通サイズとしての普及に向けて、ロードマップ作成を主導している。一方で、国際間輸送でパレットに関税が課さられている状況もあり、「パレットの関税をなくすのが重要」(加納会長)として無税化についても取り組む考えだ。
ドライバー不足の深刻化が懸念される2024年問題に対して、バラ積みバラ降ろしからパレットに切り替える企業が増加している一方で、運用ルールが確立されていないことからパレットが回収されずに大量に廃棄される事態が想定されている。加納会長は「パレットの廃棄は環境面でも大きな問題。発荷主と着荷主がパレット管理の責任を負う運用の仕組みが必要だ」と官民一体となったルールづくりを進める意向だ。