産業ガスの供給を原点に、多彩な事業を運営する「エア・ウォーター」に、また1社新たなメンバーが加わった。11月1日付で、農産物の直売所「産直市場よってって」を運営する「プラス」から株式51%を譲り受け、エア・ウォーターグループ企業とのシナジー創出を図ることとなったのだ。
プラスは、和歌山県、大阪府、奈良県で産直市場よってってを運営している。会社設立は1954年で、2021年2月期の売上高は、76億4100方円。和歌山県田辺市に本社を置き、02年5月、産直市場1号店「よってっていなり本館」を本社近くに開業した。現在店舗数は、和歌山県14店舗、大阪府9店舗、奈良県5店舗の計28店舗を展開している。
エア・ウォーターは、コングロマリット経営を志向、ケミカル、医療、エアゾールなど多彩な事業を運営している。プラスと関わる「食」の分野では、農産・加工品事業、飲料事業を中心に、青果小売りなどを手掛けている。食の事業に共通する、調達、開発・加工、販売をつなぐ全国ネットワーク網構築の強みを生かし、地域に密着するグループ企業との協業によりシナジーを追求、農産事業の全国展開に取り組むこととなる。
エア・ウォーターは、これまで北海道では物流と農業を組み合わせた新たな農産事業を推進する北海道エア・ウォーター・アグリ、九州には農産物の調達、加工拠点としてトミイチ九州を設立。また、昨年は西日本を中心に青果物流に強みを持つ桂通商がグループ入りすることで、低温物流も強化してきた。プラスの強みは、農家の販売支援、良質で安価な農産物の提供、地域の雇用創出、地産地消に貢献する生産者・消費者・従業員・地域の「四方良し」のビジネスモデルを構築しているところにある。
プラスのグループ入りを契機に、これまで培ってきたバリューチェーンに、産直ならではの地産地消という新たな価値を付加、地域事業会社(北海道、東日本、西日本)との協業で展開地域を拡大していく。さらに今後は地産地消を通じた、農家の栽培支援、販路拡大などによる地域農業の振興、食料自給率の向上に寄与。合わせて、加工技術・機能強化で規格外農産物の廃棄ロス削減などにも貢献していくとしている。