日本生活協同組合連合会は10月23日、2020年上期の事業状況をオンライン会見にて報告した。全国65主要地域生協の4~8月度の総供給高(売上高)は前年同期比115.2%と2桁増で推移。直近の9月度、10月度はそれぞれ109.4%、114.1%となり、9カ月連続の前年超過となった。店舗の10月度は103.0%と落ち着きつつあるが、宅配は引き続き好調で、10月度は増税後の需要減の反動もあったが120.6%と2割増で着地した。

 宅配事業の売れ筋は冷凍食品、マスク・除菌関連品、児童書など。寝具や園芸も特需となり、「ステイホームをきっかけに、巣ごもりのための商品、家族で楽しむ商品が好調」と藤井喜継専務理事は分析。ホットケーキミックスなどの粉もの、昼食向けのパスタも需要の上振れが続いている。

 この間、ウェブを通じた新規加入も急増した。19年度は通年で38万人だったのに対し、今期は3~8月の6カ月で56万人以上が加入。主に20~30代の若年層、60代以上のシニア層が増えた。9月に入っても前年比2倍の伸びが続いている状況だ。

 日本生協連がPB「コープ商品」を会員生協に供給するコープ商品事業の4~9月度累計実績は、前年同期比114.0%の1765億円となった。こちらも冷食が好調だったほか、「コープ商品60周年」企画の実施でロングセラー商品が今一度見直される傾向にあった。

 全国の地域生協は今期、軒並み過去最高益を達成する見通し。日本生協連も共済事業を分離して以来の最高益となる予想だ。藤井専務理事は「供給高の増加に加え、コロナで1人当たりの利用高が増え、宅配の配達効率が改善したことが寄与している」と語った。

 次年度に向けては、特需となった今年度ではなく、19年度を指標として計画を練る方針。店舗事業は19年度並み、宅配事業はコロナ禍で増えた会員の定着を図ることで19年度比105%の成長を見込む。

 藤井専務理事は、次年度の取り組みの一つとして、デジタル変革を推進する「DXコーププロジェクト」の発足を挙げた。ICTを駆使し、組合員・職員の体験価値向上を図るもので、主な切り口として、①買い物の利便性向上、②地域コミュニティーの活性化、③職員の働き方改革の三つを掲げる。年末の役員会議で議論を詰めた上で、年明けには取り組みの詳細を発表するとしている。

 コロナ禍では組合員活動をオンラインで行うなど、デジタル活用も広がりを見せている。新しい生活様式に対応した共助、社会的取り組みのあり方も含め、ニューノーマル下で生協の果たす役割は今後さらに大きなものとなっていきそうだ。

(画像はオンラインにて事業報告をする藤井喜継専務理事)