ビタミン、ミネラル、乳酸菌。高麗人参からスッポンに至るまで、栄養補給や機能性などを目的にさまざまな健康食品が販売されている。近年ではサプリメントとも呼ばれ、スポーツなど用途に特化した製品も好調だ。市場規模は1兆5000億円と推計され、高齢化社会の到来で確実に需要が伸びる商材だ。マーケットはブランドメーカーから地方の中小企業までが一緒になってしのぎを削り、販売チャネルも店頭からEC、通信販売、訪問販売と多岐にわたる。
2015年の「機能性表示食品制度」の創設で、ルールが明確化され、医薬品メーカーも本腰を入れ出すなど市場の環境は変化しつつある。一方で、具体的な定義がなく、実体は曖昧模糊。問題ある販売手法も多く、トラブルメーカーと目されている面もある。
健康食品とは何か。その問いに答えるには食と医をめぐる歴史や文化、人間の根源的な欲望にまで思いを巡らす必要がある。思いのほか壮大な物語となるのだが、まずは歴史からひもといていこう。