ローソンがデリバリーサービスへの対応を加速している。4月28日から、東京都内の「ナチュラルローソン」13店でフィンランド発の料理宅配サービス「ウォルト」を導入。新型コロナウイルスによる巣ごもり需要で宅配市場が拡大する中、対応サービスを増やして新たな客層の取り込みを図る。

 同社は来店が困難なお客のため、2019年8月からウーバーイーツによる商品配送を都内4店で始めた。コロナ禍でのニーズ増に対応し、20年8月にはこれを12都府県1000店に拡大。また11月には札幌市と福岡市でドイツ系のフードパンダとの連携を開始。今般のウォルト導入により、デリバリーサービス導入店舗は28都道府県1569店に拡大している。

 ウォルト導入の狙いについて、吉田泰治新規事業本部⻑補佐兼新規サービス推進部⻑は、「デリバリーのプラットフォームごとに主要客層や地域シェアは異なるため、現在も店舗によってはサービスを併用している。ウォルトは『おもてなし』をコンセプトに質にこだわったサービスを展開しており、女性の利用も多いことから、ナチュラルローソンとの親和性が高いと判断し導入に至った」と語る。

 通常ローソンでは約370品をデリバリーの対象とする。ファストフードやデザート、飲料などが売れ筋だ。都内3店では医薬品も提供している。ウォルト導入店では約400品を取り扱う。オーガニックのボディソープや香料・着色料無添加の洗剤など、主に女性向けの生活用品を拡充し、ターゲット層のニーズに対応する狙いだ。

 相次ぐ緊急事態宣言の発令で、デリバリーの需要は高まり続けている。吉田氏は「直近3月のデリバリーサービスの売り上げは、前年同月の60倍の規模となった。主に飲食店などが閉まる22時以降、住宅街を背後に持つ駅近店舗で利用が多い。日販の2割をデリバリーで売り上げる店舗もある」と説明する。

 今後もローソンは顧客利便性を高めるべく、デリバリーサービスの対応店舗を増やす計画で、7月末までに2000店、22年2月期末までには3000店体制を目指す。さらに5月中旬からは、東京都、埼玉県、千葉県の20店でウーバーイーツを通じて、テイクアウトしたい商品を予約注文できる持ち帰りサービスも開始した。取扱商品は、「からあげクン」や「鶏から」などの揚げ物を始め、マチカフェ、酒、菓子など約50品。店内で調理する商品をメインに打ち出し、出来立て需要や家庭の夕食需要などの取り込みを狙う構えだ。

(写真は東京都内のナチュラルローソン13店で「ウォルト」を導入。女性向けの生活用品などのラインアップを広げ、ニーズに対応する)