ローソンと良品計画が手を組み、ブランドシナジーの模索に乗り出した。6月17日から順次都内のローソン3店舗に「無印良品」の商品を導入。肌着、靴下、日用雑貨、文具、レトルトカレーなど約500品目の販売を開始している。試験期間は3カ月を予定し、その後は販売動向を基に今後の展開を検討する。将来的には共同のPB開発も視野に取り組みを強める考えだ

 試験販売を始めた久が原1丁目店(大田区)、新宿若松町店(新宿区)、南砂2丁目店(江東区)はいずれも直営店。各店とも陳列スペースは棚10本以上を確保したが、中でも閑静な住宅街に位置する久が原1丁目店では棚14本で大きく展開した。

 実際に同店を訪れると、入り口から左に折れた通路の片側、棚一面が無印良品の生活用品で埋められていた。棚にはコルク調の装飾をあしらい、上部に「婦人肌着」「ハウスキーピング」などカテゴリーごとのPOPを取り付けて訴求。時節柄、細身のかご什器で洗って使えるマスクも陳列していた。

 エンドはもちろん、その裏側の棚も半分が無印の売り場となっており、こちらにはカレーやスープ、菓子などの食品がずらり。店を訪れたのが平日の夕方だったためか、お客の注目はこちらのコーナーに集まっており、筆者が見ている間にも主婦と思しきお客が定番のバターチキンカレーをかごに収めていた。

棚10本以上を確保して商品を並べ、コルク調の
装飾とPOPで無印の「世界観」を構築した(写
真はローソン久が原1丁目店)

 ローソンの狙いはまさに、これまでコンビニで日常的な商品を買っていなかった層を取り込むことにある。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、日用品や食料品の購入を身近なコンビニで済ませる需要も増加。こうしたトレンドへの対応も念頭に置く。片や良品計画も昨年1月末でファミリーマートとの契約を終えており、その後は販路の拡大先を探していた。再びコンビニのチャネルで展開できることは渡りに舟だったに違いない。

 もう一つ、協業成立の背景には三菱商事の意向が働いたとの見方もできる。ローソン株の50%超をにぎる三菱商事は、良品計画の大株主(持株比率3.84%)でもある。直近の三菱商事は伊藤忠商事に時価総額で抜かれ、非資源の分野では存在感がやや弱まっていた。そこで三菱商事が今回の連携を主導したのでは、という筋書きだ。

 それはともかく、今後の両社の取り組みのポイントは、売り場の占有率と売り上げのバランスをどう見るかだ。無印良品というコンテンツがローソンのイメージとリンクし、導入前以上の客数、店トータルの売り上げアップにつながるような好循環を生み出せるか。まずはこの3カ月の動向で様子見と言えそうだ。

(冒頭写真:店頭で無印良品ののぼりを立ててアピール)

この記事の購読は有料購読会員に限定されています。
まだ会員登録がお済みでない方はこちらから登録ください。
有料購読申込

すでに会員の方はこちらから