国分グループ本社は3月3日、2020年12月期の連結決算を発表した。売上高は前年比97.7%の1兆8479億円と微減だったが、営業利益は107.0%の80億円、経常利益は101.5%の102億円、当期純利益は182.7%の57億円と増益で着地した。
減収の最大要因は、新型コロナ感染拡大に伴う外出自粛の影響で、売上構成比の3割超を占める酒類が不振だったことにある。カテゴリー全体では92.8%、中でもビールは79.7%と苦戦した。巣ごもり需要を受け、冷凍・チルドは105.4%と好調に推移したが、マイナス分を補いきれなかった。業態別ではドラッグストアが110.1%、食品スーパーが104.9%と伸長した一方で、コンビニは88.3%、一般・業務用酒販店は63.2%に落ち込むなど、好不調の差が大きかった。
それでも利益面で持ち直したのは、売り上げ不振チャネルにおいて運営体制を見直し、損益分岐点を下げる努力を継続的に行ったことが大きい。ただし物流費は103.1%と増加。小売り向けの物流は稼働が増えて売り上げに伴って増えたが、業務用の物流は稼働の激減に対し車、人の削減が進まず効率が悪化した。
今期21年度は第11次長期経営計画(5カ年)の初年度となる。新長計で掲げる目標は、第10次長計から引き継ぐ「顧客満足度ナンバーワン」のほか、「コト売りの経常利益率30~50%」「従業員の仕事における幸福度の向上」など。加えて重要キーワードとして「共創圏」を設定。従来の枠を超えたパートナーとの連携を通じ、新たな食の価値や事業の創造を図るとした。
共創圏は具体的に4つの階層からなり、第1階層が国分の本社・エリアカンパニー(AC)・カテゴリーカンパニー(CC)、第2階層がグループ各社、第3、第4階層はグループ外だが、バリューチェーンの中で連携する事業者を指す。価値創造目標として「第3階層までの売り上げプラス1兆円」「第4階層までの企業数プラス100件」を据え、パートナー企業と交渉を進めながら、ビジネスの具現化と目標達成に挑む。
そのほか長計の遂行に向けては、重点取り組み「12の戦略の柱」、食関連の領域をルート・カテゴリー・事業の3軸で整理した「14の戦略領域」を策定。最終年度の売上高・利益目標の公表はなかったが、初年度の経常利益目標として125億円を設定した。
國分晃社長は、「コロナ禍においての新長計策定となったが、これにより環境変化に対応した戦略をしっかりと固められた。前長計で備えたフルライン・フルファンクション、地域密着全国卸の機能の可能性を、共創圏のビジョンによってさらに広げていきたい」と意気込みを語った。
(写真は新長計の方向性を語る國分晃社長)