国分グループ本社は3月3日、2019年12月期の連結決算を発表した。売上高は前期比100.3%の1兆8916億円で微増収となったが、営業利益は同86.8%の75億円、経常利益は同95.5%の100億円、当期純利益は同54.1%の31億円と減益の結果だった。

 売り上げを牽引したのは構成比の約2割を占める冷凍・チルドだ。19年は8月に関西総合センターを開所するなど、3温度帯対応の物流体制整備に注力。特に冷凍食品は約2割増の大幅伸長となった。一方で、夏場の天候不順によりビール、ビアテイストの酒類が伸び悩み、これらの差し引きで全体では横ばいの着地となった。

 利益悪化の最大要因は物流費の増加だ。センター設立に係る一時的なコストも含めると、金額ベースで約21億円のコストアップが発生。収益管理ツール「アイマップ」の活用による改善効果も一部あったが、カバーしきれなかった。國分晃社長は、「物流費の値上げが継続的に利益を圧迫している。エリアカンパニー別に見ても、これに対処しきれたところと、そうでなかったところで結果に差が表れた」と悔しさをにじませた。

 20年度は国分が掲げる第10次長計(5カ年)の最終年度にあたる。引き続き収益管理の徹底と人材の適正配置で生産性を高めるとともに、顧客ニーズに応じた価値創造を提案。後期3カ年予算に掲げた売上高2兆円、経常利益180億円の達成を目指す。

 基本方針となるのが、「戦略5業態」の深耕だ。外食、中食、健康・介護、ネット・通販、メーカーの五つの分野を中核事業として育て上げる。中でも外食では、東京オリンピック・パラリンピックの各競技会場に向けた食材提供を計画中。全国規模の物流体制を生かし、昨年のラグビーワールドカップで得た知見も取り入れながら万全の提供体制を敷く。また数少ない成長市場と捉えるネット・通販では今年3月、国分首都圏に第4支社を新設。「問屋 国分ネット卸」を含むEC事業を当該支社に移管することで、機能強化、取引拡大を図る構えだ。

 20年度下期には、来期始動の第11次長計の策定に入る。國分社長は、「五輪終了を境に今後5年で国内市場は大きく縮小、我々に厳しい現実を突きつける」と認識。その上で、「従来は想像し得なかったプレーヤーとの協調を実現し、我々がサプライチェーンコンソリデート(最適流通)の機能を果たすことで課題解決を図りたい」と方針を述べた。全体最適という意味では、「サステナブル(持続可能性)」も第11次長計の大きなポイント。SDGsを念頭に置いた調達など、グループの基本方針を定めた上で、長計の主要戦略に落とし込む考えを示した。

(冒頭の写真は、20年度の経営方針を発表する國分晃社長)