現場の自主性を引き出す売り場づくりに挑戦
「市場が縮小する中でも、やり方次第で売り上げや利益は改善する。この2年間でそれを実感した」。土谷美津子取締役 専務執行役員 近畿カンパニー支社長は、着任以来の歩みを振り返り、手応えを口にする。
土谷支社長が着任した2019年当時、イオンリテールは過剰在庫の問題が深刻化していた。近畿カンパニーも例外ではなく、「衣料品や住居関連の商品を中心に在庫が積み上がり、ハンガーラックから洋服がはみ出しているような状況」(土谷支社長)だった。
在庫が膨らんだのは、人口減少による市場の縮小など環境要因もあるが、組織内部の問題も大きかった。衣料や住居関連の専門店化が進行する中、店舗側は、本部から送られた商品を販売するのがもっぱらで、商品の選択や仕入れについて権限はなかった。また、専門店化で売り場ごとの独立性が強まると、衣服と雑貨のコーディネートなど売り場をまたいだ提案もしにくくなった。そのため、現場の主体性が発揮できず、地域のお客のニーズに応えた売り場づくりも難しくなり、商品の売れ行きも鈍化、在庫が膨らむという悪循環に陥っていたのだ。