製造物流IT小売業を標榜するニトリが今期、34期連続の増収増益を確実なものにし、無人の野を行くごとく独走している。コロナ禍での巣ごもり需要や在宅勤務の広がりを受け、収納整理用品、キッチン・ダイニング用品、ホームオフィス家具、リビング・ダイニング家具が好調で、EC事業も大きく伸長した。2020年3−8月期は売上高前期比12.7%増、営業利益同比45%増、当期純利益同比35.1%増の増収増益を達成。そして、何よりも驚かされるのは、4、5月に最大110店舗が臨時休業を余儀なくされたにもかかわらず、上期の既存店客数同比は15.9%増となったことだ。

 コロナ禍の特需で恩恵を受けたスーパーマーケット(SM)、ドラッグストア、ホームセンター(HC)、郊外型カジュアル衣料チェーンなど日常品を多く扱うところが売り上げ、利益を大きく伸ばしたが、客数を大幅に伸ばした企業は極めて稀だ。SM大手のヤオコー、ライフコーポレーション、USMH、衣料品チェーンの西松屋、ユニクロ、しまむら、ドラッグストア大手(一部を除く)も客数は前年割れだが、まとめ買い需要で1人当たり客単価が伸び、増収増益を達成している。HCは在宅勤務の軽オフィス家具やDIY需要の拡大で客数を伸ばしている企業も多いが、コロナ禍前までは客数減に悩まされる状態が続いており、今回の現象は一時的なものと捉えて、再編を加速させている。

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