9月2~4日、東京ビッグサイト南展示棟で第12回ジャパンマーケティングウィーク夏が開催された。販促・マーケティング・宣伝・営業部向けの6つの専門展で構成される日本最大級のマーケティング総合展だ。

 中でも小売業の注目度が高かったのが第2回店舗運営EXPO。ウィズコロナの新たな生活様式への対応はもちろんのこと、省人化やスマート化も引き続き求められている。こうした課題を解決するサービスが一堂に集結した。

 共同印刷は9月から販売を開始した、販売什器とデジタルサイネージを一体化させた「デジタルゴンドラ」を出展。デジタルサイネージは商品のシズル感を伝える動画配信が可能で、什器に並べた商品を引き立てる。開発背景には、店舗に送り込まれたメーカーからの販売什器やPOPの多くが組み立てられることなく廃棄されている実態がある。理由は複数あり、小売り側が売り場での統一感を出すために販売什器の使用を敬遠すること、人手不足で什器の設置まで手が回っていないことなどがある。

 デジタルゴンドラの場合、動画はクラウド上でデータを管理できるため手間が少ない。また動画配信はメーカーからの広告出稿となるため小売り側の利益となる。動画は日にちや時間帯ごとの配信予約が可能で、商品紹介の合間に自社のCMを流すこともできる。ウィズコロナで試食販売がままならない中、サイネージ画面でバーチャル販売員などに接客トークをさせることで、試食販売を代行してもらうことも可能だ。

 このほか、ベンチャーのタイムリープは遠隔接客サービス「RURA」を紹介。ホテルなどで求められている非対面接客を可能にするサービスで、オンラインを通じ、複数店舗をまたいだ接客ができる。肝心の接客担当は、タイムリープで育成した従業員、既存スタッフのどちらも選べる。人件費の削減と専門知識を持った人材の複数店対応の両方が可能ということで、現在、ホテルやコワーキングスペースの受付などから利用が広がり始めているという。

 位置情報の認識技術では、スマート・ソリューション・テクノロジーによる「音ビーコン」も注目だ。従来、店舗とアプリを紐付ける仕組みとしてはGPS機能などが一般的だが、同社の音通信認証技術は通常人が認識できない音声をスマホアプリで受信して店舗を識別できるというもの。GPSには多少のズレが発生するが、音ビーコンは壁を貫通しない音のため、不正チェックインが防止でき、コストも低く抑えられるという。来店スタンプへの活用や無人店舗のモバイルセルフ決済などに活用してもらいたい考えだ。

 次回の店舗運営EXPOは来年4月21−23日の開催を予定している。

(冒頭写真は共同印刷が出展した「デジタルゴンドラ」)