ストレートタイプの鍋つゆに参入
祖業である鰹節だしに磨きをかけ、にんべんは2020年秋冬の新商品を発表した。1699年創業、鰹節専門店のブランド力と、鰹節だしの抽出・調合技術を生かし、ワンランク上の高付加価値品を訴求していく。20年度第1四半期(4~6月)の同社家庭用事業部の売り上げは、外出自粛で調理人口が増えて内食需要が高まり、主力商品の「にんべん つゆの素」をはじめ、様々な調理に使いやすい「にんべん 白だし」などが牽引して前年同期比110%と伸長している。今秋冬季は内食需要に応えた新商品で、さらにもう一段上の売り上げ拡大を図る構えだ。
今下期は鰹節専門店の強みを生かしたストレートタイプの鍋つゆに参入する。鍋つゆ市場は、簡便ニーズを追い風に19年は400億円を超えるまでに成長し、特に寄せ鍋やちゃんこ鍋などのベーシックな和風味で、そのまま使えるストレートタイプが牽引している(インテージSCIデータ)。
このニーズを捉え、〝だし〟を生かした同社初のストレートタイプ「だし鍋つゆ 寄せ鍋醤油味」(750g)を9月から販売する。強みである国内製造鰹節と鶏がらだしの素材を生かし、鰹節へのこだわりをパッケージ全面に打ち出す。だしの旨味を使うことで、化学調味料、着色料、保存料は無添加を実現した。キレの良い濃い口醤油と、コクのあるたまり醤油をバランスよく組み合わせた醤油味の寄せ鍋となる。
店頭陳列では、グロッサリーの鍋つゆ売り場に加え、新型コロナの影響でチラシや試食販売の展開が難しいことから、生鮮食品との関連販売を強化。茨木順好家庭用事業部部長は、「だしにこだわった商品として生鮮の素材を引き出す調味料としてアピールしていきたい」と強調。実際、バイヤーから高い評価を得て、大手スーパーを中心に導入が順調に進んでいるという。神谷俊光家庭用事業部執行役員部長は、「当社では生鮮関連商品群も増え、ドライと生鮮を上手く組み合わせた提案機会が増えています」と手応えを口にする。
同時に小分けの希釈タイプ「だしが世界を旨くする」〈うまみ塩 鍋スープ〉、リニューアル品〈こくみ醤油 鍋スープ、まろみ味噌 鍋スープ〉(各30ml×4袋)の拡販も図る。いずれもだしの旨味と香りを生かした味づくりで、化学調味料、着色料、保存料は無添加だ。その中でも新商品「同 うまみ塩 鍋スープ」は、国内製造鰹節や上品な風味の焼きあごなど計7種類の魚介の旨味が際立つ塩味に仕立てた。
健康志向に対応したおかかふりかけと四穀ドレッシングが登場
にんべんは、祖業の鰹節カテゴリーの拡大も図っている。削り節市場が伸び悩む中、少人数世帯の増加に合わせて、ワンランク上の小容量化パックの開発を推進。カビ付けと天日干しを4回以上繰り返して仕上げた「本枯鰹節フレッシュパックソフトプレミアム2.5g×8袋」を昨年発売して好調なことから、今回さらに小容量化した「同 使い切りサイズ1.5g×10袋」を追加。1.5gの個包装の形状で無駄なく使いきれる。いつも新鮮な削りたての本枯鰹節特有の上品でまろやかな味と香りで、こだわりのある料理に加えて楽しめる。「今春以降、内食需要の拡大で当社の鰹節は前年比108%前後で伸長傾向にあることから、新商品の投入でさらなる活性化を図りたい」(茨木部長)考えだ。
また健康志向に対応した商品ラインアップも拡充。ふりかけ市場が微減傾向にある中、足元では外出自粛の影響でおにぎりなどに使うソフトふりかけが伸び悩んでいる。そこで子供が喜ぶ味わいの「ビフィズス菌入りおかかふりかけ」(30g)の投入で、ふりかけ市場の活性化を促す。1袋当たりにビフィズス菌10億個入りで、化学調味料、保存料、着色料を無添加とした。子供にも安心して使用できる。国内製造の鰹節を風味豊かに炊き上げ、ごまを合わせた甘みを感じるソフトふりかけで、ご飯だけでなく様々なレシピに最適だ。
また子供のアレルギーが増えていることから、主に子育て世代に向け小麦・大豆不使用の食物アレルギーに対応したドレッシングタイプ調味料「四穀ドレッシングタイプごま風味」(200ml)も登場。一般的なドレッシングに使う小麦・大豆不使用で、「ごま、あわ、ひえ、きび」で作られたごま風味の液体調味料だ。化学調味料、保存料、着色料が無添加の安心な商品設計で子育て世代を応援する。にんべんでは新商品の育成とともに、コロナ感染拡大でより高まる健康志向に対応した商品群にも力を入れていく。